雇用

厚生労働省が2026年1月30日に公表したデータによると、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人となり、過去最高を更新しました。前年から26万人以上増加し、外国人材の活用はもはや一部の業界だけの話ではなく、日本の労働市場全体を語るうえで欠かせないテーマになっています。本記事では最新データを読み解きながら、採用市場の動向と人手不足が深刻な業種を整理します。

外国人労働者数257万人の実態

過去最高を更新するペース

2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人で、前年同期比26万8,450人の増加となりました。外国人労働者を雇用する事業所数も37万1,215所に達し、前年から2万9,128所増加、こちらも過去最多を更新しています。届出制度が始まって以来、外国人労働者数は一貫して増加傾向にあり、増加ペースが加速している点が特徴です。

産業別に見ると製造業が最多

産業別では「製造業」が全体の24.7%を占め、最も多くの外国人労働者を受け入れています。人手不足が深刻な製造現場において、外国人材がすでに欠かせない存在になっていることがうかがえます。次いで、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業なども外国人材の活用が進む業種として挙げられます。

国籍別ランキング

国籍別で見ると、ベトナムが約60万人で最多、次いで中国が約43万人、フィリピンが約26万人と続きます。特にベトナムは技能実習・特定技能の双方で大きな割合を占めており、日本の外国人材受け入れにおける最重要国のひとつとなっています。

なぜ外国人労働者数がここまで増えているのか

少子高齢化による構造的な人手不足

日本の生産年齢人口は減少を続けており、多くの業種で日本人だけでは必要な労働力を確保できない状況が続いています。製造業・建設業・介護・物流など、現場を支える職種ほどこの傾向が顕著です。

制度面の整備が進んだこと

特定技能制度の創設・分野拡大、育成就労制度の創設準備など、外国人材を正面から受け入れるための制度整備が進んできたことも、労働者数増加を後押ししている要因です。2026年1月には物流倉庫・資源循環・リネンサプライの3分野が新たに追加され、特定技能は19分野体制に拡大しました。

人手不足が深刻な業種と外国人材活用の関係

製造業

全体の4分の1を占める製造業では、技能実習・育成就労を通じた人材育成から特定技能への移行という流れがすでに定着しつつあります。工場ごとの多言語対応や安全教育の体制整備が、定着率を左右する重要な要素です。

宿泊・飲食業

インバウンド需要の回復により、宿泊業・外食業では即戦力人材への需要が高まっています。特定技能の「宿泊」「外食業」分野に加え、今回新設された「リネンサプライ」もこの業界の人手不足を補う制度として注目されています。

物流・運送業

EC市場の拡大により、物流倉庫・トラック運送の両面で人手不足が深刻です。「自動車運送業」に加えて「物流倉庫」分野が新設されたことで、運送から保管まで一気通貫で外国人材を受け入れる基盤が整いつつあります。

在留資格別に見る外国人労働者の内訳

外国人労働者数257万人という数字は、単一の在留資格による人数ではありません。大きく分けると、次のような区分で構成されています。

身分に基づく在留資格:永住者・日本人の配偶者等・定住者など。就労制限がなく、幅広い業種で活躍しています

専門的・技術的分野の在留資格:技術・人文知識・国際業務、特定技能、高度専門職など

技能実習(今後は育成就労):製造・農業・建設などの現場技能の習得を通じて就労

資格外活動(留学生のアルバイト等):週28時間までの就労制限のもとで従事

自社がどの区分の人材を求めているのかを整理することで、採用チャネルや必要な手続きが明確になります。

中小企業が採用競争で差別化するには

大手企業に比べて採用予算や知名度で見劣りしがちな中小企業でも、外国人材から選ばれる工夫は可能です。特定の国籍・コミュニティとの継続的な関係構築、先輩社員による母国語でのサポート体制、柔軟な勤務形態の提供など、大手にはない「顔の見える職場」であることを打ち出すアプローチが効果的です。

データを採用計画にどう反映させるか

厚生労働省の届出データは毎年1月頃に前年10月末時点の集計が公表されます。自社の属する業種の増加率や、採用したい国籍の労働者数の推移を毎年チェックすることで、採用市場が拡大しているのか、競合が増えているのかを客観的に把握できます。感覚だけに頼らず、こうした公的データを定点観測する習慣が、中長期の採用戦略の精度を高めます。

Q. 外国人労働者数のデータはどこで確認できますか?

厚生労働省が毎年公表する「外国人雇用状況の届出状況」で、産業別・国籍別・都道府県別など詳細な内訳を確認できます。自社の採用計画を立てる際の基礎資料として活用できます。

Q. 都市部以外でも外国人材の採用は進んでいますか?

地方でも人手不足を背景に外国人材の受け入れは着実に広がっています。都市部に比べて住居費が抑えられる、地域コミュニティとのつながりを築きやすいといった利点をアピールすることで、地方企業でも十分に採用競争力を発揮できます。

採用市場の今後の見通し

政府は2026年1月、特定技能・育成就労をあわせた2028年度末までの5年間の受入れ見込み数(上限)を計123万1,900人と決定しました。今後も外国人労働者数は増加を続けると見られ、企業にとっては「外国人材を採用するかどうか」ではなく「どう選ばれる企業になるか」が採用競争の焦点になっていくと考えられますまとめ

まとめ

– 2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人で過去最高を更新した

– 産業別では製造業が24.7%で最多、国籍別ではベトナム・中国・フィリピンが上位

– 少子高齢化による構造的な人手不足と制度整備の進展が増加の背景にある

– 製造業・宿泊飲食業・物流業で特に人手不足が深刻

– 今後5年間で受入れ見込み数は123万1,900人とされ、採用競争の激化が予想される

参考

– 社会保険労務士PSRネットワーク「外国人労働者数(令和7年10月末)は257万1,037人 過去最高を更新(厚労省)」https://www.psrn.jp/topics/detail.php?id=39701

– Guidable Jobs「外国人労働者数の推移【2026年最新】過去最高257万人の実態と今後を解説」https://guidablejobs.jp/contents/how-to-recruit/11695/

– 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/index.html

– 出入国在留管理庁「特定技能制度」https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/tokutei_index.html