「特定技能を採用しようとしたが、支援機関のリストを見て絶望した」
入管のHPに公開されている登録支援機関のリストを見たことはありますか?その数、全国で8,000社以上(2024年時点)。 人材会社、行政書士、協同組合、さらには異業種からの参入も入り乱れ、まさに玉石混交の状態です。
経営者や人事担当者にとって、この中から自社に合った1社を選ぶのは至難の業。「とりあえず安いところでいいか」と月額1.5万円の業者を選び、後で痛い目を見るケースが後を絶ちません。
今回は、きれいごとは抜きにします。 「ハズレ業者」を引いて損をしないために、契約前の面談で必ず聞くべき「3つの質問」と、適正価格の判断基準を公開します。
そもそも「登録支援機関」は何をしてくれるのか?
選び方の前に、彼らの役割を整理しましょう。 法律で定められた「義務的支援」は多岐にわたりますが、経営者が期待すべき役割は大きく2つです。
1.「リスク管理」の代行:
四半期ごとの入管への報告(定期届出)
トラブル時の対応(法的・生活的)
2.「定着率」の向上:
母国語によるメンタルケア
公的手続き(通院・役所)の同行
ダメな支援機関は、1番の書類作成しかしません。しかし、企業が本当にお金を払う価値があるのは、2番の「定着支援」です。ここを見誤ると、「毎月3万円払っているのに、通訳が必要な時に電話が繋がらない」という悲劇が起きます。
業者選びで「損」をしないための3つの質問
営業担当者の「任せてください」という言葉を鵜呑みにしてはいけません。 契約前の面談で、以下の3点を具体的に質問し、その回答の「解像度」でジャッジしてください。
質問①「担当者1人あたり、何人の外国人を支援していますか?」
これはサポートの「質」を見抜くためのキラークエスチョンです。
・危険な回答: 「100名以上です」「全社でカバーします」
・理想の回答: 「50名〜70名程度を目安にしています」
💡【解説】 メンタルケアや緊急対応を真面目にやろうとすれば、担当者1名が見られるのは50名〜70名が限界です。ここが100名を超えている業者は、「何かあった時の対応」が物理的に不可能です。 「定期面談はZoomで5分話すだけ」という手抜き支援の可能性が高いと判断してください。
質問②「土日や夜間のトラブル対応は、誰がどう行いますか?」
外国人のトラブル(病気、事故、喧嘩など)は、往々にして業務時間外に発生します。
・危険な回答: 「翌営業日に対応します」「代表電話にかけてください」
・理想の回答: 「担当者の携帯に直接繋がります」または「24時間対応の多言語コールセンターと提携しています」
💡【解説】 「土日は休みなので月曜に対応します」という業者では、現場の管理者は休まりません。結局、社長や工場長が病院に連れて行く羽目になります。「私が動かなくていい体制があるか」を徹底的に確認してください。
質問③「四半期報告のミスで、特定技能の認定を取り消された事例はありますか?」
少し意地悪な質問ですが、コンプライアンス能力を測るのに最適です。
・危険な回答: 「(言葉を濁す)」「おそらくないと思います」
・理想の回答: 「ありません。行政書士とダブルチェック体制を敷いています」
💡【解説】 特定技能で最も怖いのは、支援機関の書類ミスや報告漏れによって、「受入れ企業側(御社)」が入管からペナルティを受けることです。最悪の場合、今後5年間外国人を採用できなくなります。 自社のミスだけでなく、支援機関の不手際で自社の採用計画が止まるリスクがあることを忘れてはいけません。
「料金相場」の嘘と本当
「A社は月3万円、B社は月1.5万円。ならB社がお得だ」 この判断は極めて危険です。料金には「理由」があります。
| 価格帯(月額/1名) | サービスの実態 | 推奨度 |
|---|---|---|
| 1.5万円〜2万円 | 「書類作成代行」のみ。生活支援や通訳は別料金、または非対応。自社でケアできる企業向け。 | △ 上級者向け |
| 2.5万円〜3万円 | 「フルサポート」の標準相場。公的機関への同行や、緊急時の駆けつけも込みの場合が多い。 | ◎ 推奨 |
| 3.5万円以上 | 社宅の管理や送迎など、特別なオプションが含まれているか確認が必要。 | ◯ 要検討 |
初めて特定技能を受け入れるなら、月額2.5万円〜3万円の価格帯で、しっかりと対面サポートをしてくれる業者を選ぶのが、結果的に「最も安上がり(社長の時間を奪われない)」になります。
賢い契約の結び方「1年更新の罠」
最後に、契約時の重要なテクニックをお伝えします。 それは、「いきなり長期契約を結ばない」、あるいは「解約条項を確認する」ことです。
支援機関の質は、担当者個人の能力に大きく依存します。「営業の人は良かったけど、実務担当者が最悪だった」というケースは山ほどあります。
💡必ず確認!
「支援機関の変更(切り替え)は自由か?」
「違約金なしで解約できるか?」
これらを必ず契約書で確認してください。「ダメならすぐに他へ移る」という選択肢を持っておくことが、自社を守る最大のリスクヘッジです。
結論:支援機関は「外注業者」ではなく「人事パートナー」
登録支援機関選びは、結婚相手選びに似ています。 良いパートナーと組めば、外国人は安心して働き、驚くほど定着します。逆に悪いパートナーと組めば、トラブルの火消しに追われ、現場は疲弊します。
「安さ」や「家から近い」だけで選ばず、「自社の社員を大切にしてくれるか?」という視点で、厳しく見極めてください。