「特定技能が良いのは分かった。で、結局いくらかかるんだ?」
前回の記事で、特定技能が「人材不足の切り札」であることはご理解いただけたかと思います。しかし、経営者として最も気になるのは「費用対効果(コスパ)」でしょう。
ネットで検索しても「数十万〜百万円」と幅がありすぎて、予算が組めない……そんな悩みをお持ちではありませんか?
今回は、曖昧な数字は一切出しません。 現在(2025年時点)の市場相場に基づき、採用から受け入れ後にかかる「1円単位のコスト構造」を包み隠さず分解します。
これを読めば、「高い」と思っていた外国人採用が、実は日本人を採用するよりも「確実で賢い投資」であることが分かるはずです。
特定技能にかかる費用の「全内訳」
まず、特定技能外国人を1名採用するためにかかる費用は、大きく分けて以下の3つです。
- イニシャルコスト(採用・入国時の一時金)
- ランニングコスト(毎月の支援費)
- 給与・法定福利費(日本人と同じ)
3番は日本人と同じなので割愛し、ここでは特定技能特有の「1」と「2」について徹底解説します。
① イニシャルコスト(採用〜入社まで)
| 項目 | 相場(概算) | 解説 |
|---|---|---|
| 人材紹介 | 30万〜60万円または年収の20〜30% | 紹介会社への成功報酬。海外現地から呼ぶ場合は安め、国内在住者(転職)は高くなる傾向。 |
| ビザ申請費用 | 10万〜15万円 | 行政書士への報酬。書類作成が複雑なためプロへの依頼が必須級。 |
| 渡航費・事前準備 | 5万〜10万円 | 海外から呼ぶ場合の航空券代、健康診断費用など(企業負担が一般的)。 |
| 合計目安 | 45万〜85万円 | ※採用ルートにより変動 |
② ランニングコスト(入社後の支援費)
特定技能特有のコストがこれです。 法律で定められた「義務的支援(生活サポートや定期面談)」を、専門機関である「登録支援機関」に委託する場合にかかる費用です。
- 支援委託費の相場:月額 20,000円 〜 30,000円 / 1名
「毎月かかるのか…」と重く感じるかもしれません。しかし、これは単なるコストではなく、「総務人事のアウトソーシング費」兼「通訳雇用のシェアリング費」と考えてください。自社で通訳を一人雇うより遥かに安上がりです。
【完全シミュレーション】初年度にかかる総額は?
では、実際に海外(ベトナムやインドネシアなど)から特定技能外国人を1名採用した場合の、初年度の総額を計算してみましょう。
【モデルケース】
- 採用ルート:海外現地から採用
- 紹介料:40万円
- 支援委託:登録支援機関へ丸投げ(月額2.5万円)
📊 初年度コスト算出
初期費用:約 60万円紹介料40万 + ビザ申請12万 + 渡航費等8万)
年間維持費:30万円(月額2.5万 × 12ヶ月)
初年度合計:約 90万円(+給与)
「90万円もかかるのか!」 そう思われた方、少しお待ちください。ここで終わってはいけません。これを「日本人採用」と比較した時、真のコスパが見えてきます。
日本人採用 vs 特定技能採用【コスパ最終決戦】
「日本人は紹介料がかからないから安い」というのは、大きな誤解です。 しかし、一方で「外国人は出稼ぎに来ているから絶対に辞めない」というのも、危険な思い込みです。
特定技能制度は、かつての技能実習と違い「転職が可能」です。つまり、嫌なら他社へ移ることができます。
では、なぜあえて特定技能を推すのか? それは、日本人と外国人とでは「辞める理由(離職の性質)」が根本的に違うからです。
| 比較項目 | 日本人(若手・中途) | 特定技能外国人 |
|---|---|---|
| 採用単価 | 30万〜100万円 (媒体費・紹介料) | 45万〜85万円 (紹介料・渡航費込) |
| 辞める理由 (リスク) | 「この仕事自体が嫌だ」 業界自体から去るケースが多い。 → 引き止めようがない | 「給料がもっと欲しい」 同業他社へ移るケースが多い。 → 待遇次第で防げる |
| 仕事への執着 | △ 低い 「合わなければ次を探せばいい」と考えがち。 | ◎ 高い(構造的理由) ビザがその「職種」に紐付いているため、簡単には業界を抜けられない。 |
結論:条件さえ守れば「特定技能」の方が歩留まりが良い
現場仕事(介護、建設、外食、製造など)において、日本人の若手は「仕事がキツイ」という理由で、業界そのものから離脱してしまう確率が非常に高いのが現状です(高卒就職者の3年以内離職率は約4割、宿泊・飲食では約5割〜6割です※)。
対して、特定技能外国人は「その分野で働くこと」が日本に居るための条件です。 彼らが辞めるのは「仕事が嫌な時」ではなく、「もっと稼げる会社を見つけた時」か「人間関係が悪い時」です。
つまり、「相場並みの給与」と「適正な扱い」さえ提供していれば、彼らは日本人よりも圧倒的に長く、粘り強く働きます。
「辞められる原因」が会社側(待遇・管理)にある分、対策が打てる。それが特定技能採用の隠れたメリットなのです。
※厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」より
コストを抑えるための「賢い裏ワザ」
それでも少しでも費用を抑えたい経営者のために、2つのポイントをお伝えします。
① 助成金・補助金をフル活用する
「人材開発支援助成金」や、各自治体独自の「外国人受入環境整備補助金」などが使えるケースがあります。これらを活用すれば、実質的な持ち出しを大幅に減らせます。 ※採用する支援機関や行政書士がこれらに詳しいかどうかが鍵です。
② 「自社支援」への切り替えを目指す
最初は「登録支援機関」に委託(月2〜3万)するのが安全ですが、ノウハウが溜まってきたら、将来的に自社で支援を行うことも可能です。そうすれば、毎月のランニングコストはゼロになります。
まとめ:コストではなく「投資対効果」で見よう
特定技能の採用には、確かにお金がかかります。 しかし、それは「ただ出ていくお金」ではなく、「将来の売上を作ってくれる人材への投資」です。
応募が来ない求人に広告費を垂れ流し続けるのと、確実な即戦力に投資をするのと、どちらが健全な経営でしょうか?
次回は、この投資を成功させるための最大のパートナー、「失敗しない登録支援機関の選び方」について解説します。ここで値段だけで業者を選ぶと、後で痛い目を見ることになります…。
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