外国人材の採用・育成にはコストがかかりますが、国の助成金・補助金制度をうまく活用することで負担を軽減できます。外国人に特化した助成金は限られているものの、国籍を問わず使える雇用系・育成系の助成金の多くは外国人労働者にも適用可能です。本記事では、2026年時点で外国人採用に活用できる主な助成金を整理します。

助成金活用の全体像

外国人採用に関連する助成金は、大きく分けて次の2種類があります。

1. 外国人労働者を対象に含む、または外国人に特化した助成金

2. 国籍を問わず使える雇用・育成系の助成金を外国人雇用にも適用するもの

自社の採用フェーズ(採用前・受け入れ準備・入社後の育成)に応じて、複数の助成金を組み合わせて活用することがポイントです。

① 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

外国人材の受け入れに直接特化した代表的な助成金です。就業規則の多言語化、外国人労働者向けの相談体制の整備、生活支援制度の導入など、就労環境の整備に取り組む事業主が対象となります。

支給額の目安

1制度の導入につき20万円、複数の制度導入で上限80万円の定額支給が受けられます。就業規則等の多言語化、苦情・相談体制の整備、一時帰国のための休暇制度、社内マニュアル・標識類の多言語化などが対象の取り組みとして挙げられます。

② トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

就労経験のない職種への就職を希望する求職者を、一定期間試行雇用する事業主を支援する制度です。外国人であっても対象条件を満たせば活用できます。

支給額の目安

月額4万円を上限に、最大3か月間支給されます。本採用前にお互いの適性を見極める期間として活用でき、ミスマッチによる早期離職のリスクを抑える効果も期待できます。

③ 人材開発支援助成金(人材育成コース)

事業主が労働者に対して専門的な知識・技能を習得させるための職業訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成される制度です。国籍を問わず利用できるため、外国人労働者向けの日本語研修や技能研修にも活用しやすい助成金です。## 活用のポイント

活用のポイント

業務に関連する専門知識・技能の習得を目的とした訓練であることが要件となります。日本語研修そのものは業務関連性の考え方によって対象可否が分かれる場合があるため、事前に訓練内容が要件に合致するかを労働局・ハローワークに確認しておくことをおすすめします。

助成金以外に活用できる支援策

国の助成金だけでなく、自治体独自の外国人材受け入れ支援策も見逃せません。都道府県や市区町村によっては、日本語学習費用の一部補助、住居確保のための家賃補助、多言語相談窓口の無料提供などを行っているケースがあります。国の制度と自治体の制度を組み合わせることで、企業負担をさらに軽減できる可能性があるため、事業所のある自治体の産業振興・労働関連の窓口に一度問い合わせてみることをおすすめします。

助成金申請でよくある失敗パターン

計画届の提出タイミングを逃す

最も多い失敗が、取り組みを先に実施してしまい、事後的に助成金の存在を知るケースです。研修や制度導入を検討し始めた時点で、対象となる助成金がないかをまず確認する習慣をつけましょう。

対象労働者の要件を満たしていない

雇用形態(正社員・有期雇用など)や雇用期間によって対象外となる場合があります。申請前に対象労働者の要件を細かく確認せず進めてしまうと、支給決定の段階で不支給となるリスクがあります。

必要書類の不備による差し戻し

出勤簿・賃金台帳・訓練の実施記録など、助成金の証拠書類は多岐にわたります。日頃から労務管理の記録を整備しておくことが、スムーズな申請につながります。

Q. 特定技能や育成就労の人材にも助成金は使えますか?

在留資格の種類そのものによって一律に対象外となるわけではなく、雇用形態や訓練内容など個々の助成金の要件を満たしているかで判断されます。特定技能人材向けの日本語学習支援や技能向上研修でも、要件を満たせば人材開発支援助成金の対象になり得ます。

Q. 助成金の申請は自社だけでもできますか?

書類作成自体は自社で行うことも可能ですが、要件確認や書類の不備防止の観点から、社会保険労務士に相談しながら進める企業が多いのが実情です。特に初めて申請する場合は専門家の力を借りることをおすすめします。

助成金活用の実務上の注意点

申請前の計画届提出が必須なものが多い

多くの助成金は、取り組みを実施する前に計画届を提出する必要があります。「先に研修を実施してから申請する」という順番では対象外になるケースがほとんどのため、活用を検討する段階で早めに情報収集を始めることが重要です。

支給要件は年度ごとに変更される

助成金の支給額や要件は、雇用情勢や予算の状況に応じて年度ごとに見直されます。本記事の内容も2026年時点の情報であるため、実際に申請する際は必ず最新の要件を厚生労働省やハローワークの公式情報で確認してください。

社会保険労務士への相談も選択肢に

助成金の申請手続きは書類の準備が煩雑になりがちです。複数の助成金を組み合わせて活用したい場合や、初めて申請する場合は、社会保険労務士に相談しながら進めるとスムーズです。

助成金と受け入れ体制整備をセットで考える

助成金はあくまで取り組みにかかる費用の一部を補うものであり、外国人材の定着そのものを保証するものではありません。多言語マニュアルの整備、メンター制度の導入、日本語学習支援といった受け入れ体制の構築を前提としたうえで、その費用負担を軽減する手段として助成金を位置付けることが、結果的に定着率の向上にもつながります。

まとめ

– 外国人採用向けの代表的な助成金は「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」

– 就業規則の多言語化などの制度導入で最大80万円の定額支給が受けられる

– トライアル雇用助成金・人材開発支援助成金など、国籍を問わない助成金も外国人雇用に活用できる

– 多くの助成金は事前の計画届提出が必須のため、早めの情報収集が重要

– 助成金は受け入れ体制整備とセットで活用することで定着率向上にもつながる

参考

– 厚生労働省「外国人雇用に関する法律」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/index.html

– 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html

– JITCO(公益財団法人国際人材協力機構)https://www.jitco.or.jp/