建築

建設業で外国人材を受け入れる企業にとって、特定技能や技能実習・育成就労の在留資格手続きとあわせて欠かせないのが「建設キャリアアップシステム(CCUS)」への登録です。制度を知らずに受け入れを進めてしまうと、後から登録漏れが発覚し、対応に追われるケースもあります。本記事ではCCUSの概要と、外国人材受け入れ企業が押さえるべき実務ポイントを解説します。

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは

CCUSは、建設技能者の資格・社会保険加入状況・現場での就業履歴などをデータベース上で見える化する仕組みです。技能者の経験や技能を客観的に評価し、処遇改善やキャリアパスの明確化につなげることを目的として、国土交通省の主導で整備されました。

外国人材の登録が義務化された経緯

国土交通省が2019年7月5日に示した外国人材受け入れに関する方針を受け、外国人材を受け入れる建設企業にはCCUSへの登録が求められるようになりました。当初は特定技能外国人が主な対象でしたが、2020年1月からは技能実習生や外国人建設就労者にも対象が拡大され、建設分野で就労する外国人材のほぼすべてが登録の対象となっています。

なぜ外国人材の登録が重視されるのか

建設業界では、他の業種と比較して技能実習生などの失踪率が高いことが課題として指摘されてきました。CCUSによって就業履歴や現場の出入りを記録・管理できるようにすることは、こうした労務管理上の課題に対応する狙いもあります。企業側にとっても、外国人材の就業状況を客観的に把握できるというメリットがあります。

登録の実務:誰が、何を登録するのか

技能者本人の登録

外国人材本人が、氏名・生年月日・保有資格・社会保険加入状況などの情報を登録し、CCUSカードの交付を受けます。現場に入場する際は、カードリーダーにこのカードをかざすことで就業履歴が自動的に記録される仕組みです。

事業者(企業)の登録

外国人材を受け入れる企業自身も、事業者としてCCUSに登録する必要があります。企業情報や社会保険の加入状況などを登録し、技能者情報と紐づけて管理します。

現場での運用

CCUSに対応した現場では、入退場管理用のカードリーダーが設置されており、外国人材が現場に出入りするたびに就業履歴が記録されます。この記録は、特定技能・技能実習・育成就労いずれの在留資格でも、就労実態を裏付ける資料として活用できる場合があります。

未登録の場合に生じるリスク

CCUSへの登録は、多くの元請企業・発注者にとって現場入場の前提条件になりつつあります。未登録のまま現場に入ろうとすると、入場自体を断られるケースや、下請企業としての評価・信頼に影響するケースも考えられます。また、外国人材の在留資格更新の審査において、適正な就労実態の証明が求められる場面で、CCUSの記録が参考資料として活用されることもあるため、未登録・未運用の状態は思わぬところでリスクになり得ます。

企業がいまから準備しておくこと

自社と受け入れ予定人材の登録状況の棚卸し

すでに外国人材を受け入れている企業は、技能者本人・事業者双方の登録が完了しているかを今一度確認しましょう。技能実習から特定技能、あるいは今後の育成就労への移行にあわせて、登録情報の更新が必要になる場合もあります。

元請・発注者側の要求水準の確認

現場によってCCUSの活用度合いが異なるため、主要な取引先・元請企業がどの程度CCUSを重視しているかを確認しておくと、案件ごとの対応漏れを防げます。

監理支援機関・登録支援機関との連携

技能実習・育成就労では監理支援機関、特定技能では登録支援機関がCCUS登録の実務をサポートしてくれる場合があります。委託契約の範囲にCCUS関連の支援が含まれているかを確認し、自社だけで対応が難しい部分は早めに相談することをおすすめします。

よくある

Q. CCUSの登録費用は誰が負担するのが一般的ですか?

技能者登録料・カード発行料は本人負担、事業者登録料は企業負担とされるのが一般的な整理です。ただし、外国人材の定着支援の一環として、企業が本人負担分を補助しているケースも見られます。

Q. すでに技能実習として登録していた人材が特定技能に移行した場合、再登録は必要ですか?

在留資格が変わっても、CCUS上の技能者IDは基本的に引き継がれます。ただし、在留資格の変更にあわせて登録内容(保有資格や現在の就業状況)の更新が必要になる場合があるため、変更手続きのタイミングで登録情報も確認しておきましょう。

Q. 現場によって求められるCCUSの活用レベルに差はありますか?

発注者・元請企業によって、CCUSの活用度合い(カードリーダーの設置状況や、就業履歴の提出を求めるかどうかなど)には差があります。主要な取引先の運用方針を事前に確認しておくと、案件ごとの対応漏れを防げます。

外国人材の処遇改善にもつながる仕組み

CCUSは単なる登録義務にとどまらず、経験年数や保有資格に応じてレベル分けされる仕組みを持っています。就業履歴が正しく蓄積されることで、外国人材自身のキャリアが客観的なデータとして可視化され、昇給や役職登用の根拠としても活用しやすくなります。技能実習・特定技能・育成就労と在留資格が変わっても、CCUS上の経験が引き継がれていくことは、長期的なキャリア形成を示せるという点で、外国人材にとっても働くモチベーションにつながる仕組みだといえます。

まとめ

– CCUSは建設技能者の資格・就業履歴を見える化するデータベースで、外国人材の登録が義務化されている

– 2019年の国交省方針を受け、特定技能に加え2020年から技能実習生・外国人建設就労者にも対象が拡大された

– 技能者本人と事業者(企業)の双方がCCUSに登録する必要がある

– 未登録は現場入場の可否や取引先からの評価、在留資格更新の審査にも影響し得るリスクがある

– 登録状況の棚卸しと、監理支援機関・登録支援機関との連携が実務上のポイントになる

参考

– KENTEM「建設業で外国人を受け入れるには?在留資格・手続き・必要書類をわかりやすく解説」https://www.kentem.jp/blog/construction-foreign-worker-acceptance/

– 建設業サポートデスク「技能実習生・特定技能の建設キャリアアップシステム義務付けと登録手続き」https://www.ccus-support.com/ccus_technical_intern.html

– 出入国在留管理庁「特定技能制度」https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/tokutei_index.html

– 厚生労働省「外国人雇用に関する法律」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/index.html