「現場のマンパワーは『特定技能』で確保できそうだ。」
「でも、将来的に工場の中心を担う『幹部』や『指導役』が欲しい…」
整備士不足の解決策として「特定技能ビザ」が広く知られていますが、この制度は主に現場の作業員(ワーカー)を確保するためのものです。
もし貴社が、単なる作業員ではなく、将来的に工場全体をマネジメントする「技術指導者」や、高度な故障診断を任せられる「エンジニア」の採用を目指すのであれば、「技術・人文知識・国際業務」(技人国)ビザでの採用が、企業の技術力とマネジメント層を強化する戦略的な最適解となります。
なぜ今、「技人国ビザ」による2級整備士採用が注目されるのか?
深刻な自動車整備士不足の解決策として、現場の作業員(ワーカー)を確保するための「特定技能ビザ」が広く知られるようになりました。
しかし、もし貴社が、単なる作業員ではなく、将来的に工場全体の技術レベルを牽引する「技術指導者」や「高度な故障診断を任せられるエンジニア」の採用を目指すのであれば、もう一つの選択肢である「技術・人文知識・国際業務」(技人国)ビザが最適解となります。
技人国ビザで整備士を採用することは、単なる人材補強ではなく、企業の技術力とマネジメント層を強化する戦略的な一手となります。
【比較表】特定技能 vs 技人国:目的と役割の決定的な違い
どちらも自動車整備士として採用できますが、「目的」と「求められる役割」が全く異なります。
貴社のニーズがどちらに近いか、比較してみてください。
| 項目 | 特定技能(1号・2号) | 技人国(技術) |
|---|---|---|
| 目的・役割 | 実務者、現場作業員(ワーカー) | 技術者、指導者、管理者(エンジニア) |
| 主な業務 | 点検整備、分解整備(実務) | ・指導・監督業務 ・高度な故障診断 ・整備主任者業務 |
| 専門性の根拠 | 技能試験合格(実務能力の証明) | 大学・専門学校の工学知識(高度な専門性の証明) |
| 在留期間 | 1号は最長5年(2号で上限なし) | 上限なし(永住権も目指せる) |
| 家族帯同 | 1号は不可(2号は可能) | 可能(最初から呼び寄せ可能) |
技人国ビザの核心:入管法上の「技術の定義」と単純労働の壁
技人国ビザで整備士を採用する際、最大の壁となるのが、整備業務が「単純労働」ではないことを証明する点です。
📌 自動車整備士が直面する「単純労働」の壁
自動車整備の業務は、日常点検や部品交換など、特別な専門知識を必要としない「単純労働」と見なされやすい側面があります。入国管理局では、技人国ビザの審査において、この「単純労働」との線引きを厳格に行います。
💡単純労働の定義
タイヤ交換、オイル交換、洗車など、特別な専門知識がなくてもできる業務を主に行う場合は、技人国ビザの対象外となります。許可を得るためには、学んだ工学的な知識が、これから行う高度な技術業務(指導、診断、管理など)に合致していることを証明しなければなりません。
【不許可になる主なケース】
・雇用契約書に記載された業務内容が「主にオイル交換、洗車、タイヤ交換」となっている場合。
・職務の大部分が、特別な資格や工学的な知識を必要としない業務である場合。
📌 許可を得るための鉄則:専門的知識の「合致性」と「必要性」
ビザの許可を得るためには、以下の2点を明確に立証しなければなりません。
1.知識の合致性(何を学んだか): 申請者が大学や専門学校で学んだ工学的な知識と、これから行う業務内容が専門的に結びついていること。
2.業務の必要性(なぜ専門知識が必要か): 企業がその知識を活かした高度な技術業務(指導、診断、管理など)を求めていること。
【根拠に基づく】自動車整備士の技人国ビザ取得のための4大要件
特定技能と明確に差別化し、入国管理局の審査をクリアするために、雇用契約と申請書類で満たすべき4つの法的要件を詳しく解説します。
✅ 要件1:関連分野の学歴または実務経験の証明
申請者本人が、日本の整備業務に必要な専門的知識を習得していることを証明する必要があります。
学歴ルート①(大学):業務に関連する科目を専攻し、大学を卒業していること。
学歴ルート②(専門学校):業務に関連する科目を専攻し、日本の専門学校を卒業し、「専門士」または「高度専門士」の称号を取得していること。
実務経験ルート(代替え):関連業務で10年以上の実務経験があること。(学歴がない場合の代替措置)
✅ 要件2:職務内容に専門性と指導・監督業務が必須
これが最も重要です。単に「整備作業を行う」だけでは不許可になる可能性が高くなります。
高度な専門性の証明:単なる点検整備ではなく、電子制御システムの高度な故障診断、整備手順の技術的分析、または技術開発に関わる業務が主であること。
指導・監督業務の明記:整備士資格を持たない従業員、3級整備士、または特定技能の外国人材に対して、技術指導や業務の監督・管理を行う業務が、職務の中心に含まれている必要があります。
※指導・監督業務が主たる業務(概ね50%以上)であることが理想的です。
✅ 要件3:将来の整備主任者候補としてのキャリアパス
申請者が企業の技術部門における将来のリーダーとして期待されていることを示す必要があります。
整備主任者業務への従事予定:近い将来(例:入社後1〜2年以内)に、整備主任者として従事する具体的な計画を提示することが、専門性の高さを裏付ける強力な証拠となります。
✅ 要件4:日本人と同等額以上の報酬
採用する外国人材に支払う報酬(給与、手当等)が、同等の職務に従事する日本人社員が受け取る報酬と同等以上であることを立証する必要があります。
💡【審査のポイント】
「同等」の定義: 単に最低賃金を上回るだけでは不十分です。同じ会社で同じ業務(または同等の責任)を持つ日本人正規社員の給与と比較されます。
立証資料: 申請時には、比較対象となる日本人社員の給与台帳や雇用契約書を提出し、報酬の公平性を証明する必要があります。
これは「最低賃金以上」というレベルではなく、「同社の日本人正規社員との比較」が求められます。
経営戦略としての「報酬設計」:技人国ビザの給与の壁を突破するシミュレーション【自動車整備士編】
さらに詳しい報酬設定のシミュレーションと具体例は、こちらの記事で徹底解説しています。

許可を得るための具体的戦略:入管に提出する証拠書類の作り方
技人国ビザの成否は、申請書に添付する会社側が作成する証拠書類にかかっています。曖昧な書類では不許可のリスクが高まります。
戦略①:職務内容説明書とキャリアパスの徹底記述
外国人材が「技術者」であることを明確に示す書類を作成します。
| 提出書類 | 盛り込むべき内容(根拠) |
|---|---|
| 職務内容説明書 | 申請者の職務が「高度な故障診断」「技術指導」「品質管理」といった専門的な業務を主とし、単純労働ではないことを具体的な作業時間や責任範囲と共に説明する。 |
| 組織図 | 申請者が、整備部門のマネジメント階層(例:工場長、整備主任者、チームリーダーなど)に位置づけられており、指導・監督権限を持っていることを図示する。特定技能生や3級整備士の上に配置されていることを明確に示す。 |
| 雇用契約書 | 報酬額が、類似の日本人社員の給与と比較して同等以上であることを明記し、その根拠となる日本人社員の給与台帳なども準備する。 |
戦略②:組織図による「ポジション」の立証
会社全体の組織図を作成し、外国人材のポジションが現場作業員ではなく、指導・監督を担うマネジメント階層にあることを視覚的に証明します。
外国人材が、整備工場長(マネージャー)の直下に位置し、その下に3級整備士や特定技能生が配置されている構造を示すことが理想的です。
戦略③:日本人社員との報酬比較の提出
報酬要件を満たしていることを客観的に立証するため、以下の資料を準備します。
・申請者:雇用契約書、給与明細の写し(変更申請・更新時)
・比較対象の日本人社員:給与台帳の写し、雇用契約書(職務内容、勤続年数、資格等が類似している社員を選定)
「ハードルが高そう…」と感じた経営者様へ
上記の条件を見ると、「そんな優秀な外国人を採用するのは難しそうだ」と感じるかもしれません。
ご安心ください。
実際には、当社がご紹介する人材の多くは、ミャンマーの専門学校で高度な自動車工学を学び、日本で実績のある人材です。
彼らは既に「技術者」としての素養を持っているため、あとは貴社が「日本人と同等以上の給与」と「指導役としてのポジション」を用意さえすれば、ビザ取得はそれほど難しいものではありません。
まとめ:貴社に必要なのは「作業員」ですか?「指導員」ですか?
外国人材の採用を検討する際、目先のマンパワー不足解消を目指すのか、将来の技術継承とマネジメント層育成を目指すのかで、選択すべきビザは明確に分かれます。
| 求める人材像 | 最適なビザ | 成功の鍵 |
|---|---|---|
| 現場の実務経験豊富なワーカー | 特定技能ビザ | 技能試験合格、日常業務の遂行能力。 |
| 高度な技術と指導力を持つリーダー | 技人国ビザ | 専門学歴と職務の専門性(指導・監督業務)の立証。 |
自動車整備士の技人国ビザは、単なる手続きではなく、企業がその人材を「真のエンジニア・技術者」として採用しているかを、入管に論理的に説明し、立証する戦略的なプロセスです。
外国人自動車整備士の採用、技人国ビザの申請戦略についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。