2025年10月から、外国免許を日本の免許に切り替える「外免切替」が厳格化されました
知識確認は10問から50問の文章問題に増え、正答率90%が必要になりました。住民票の写しも原則必須です
報道では、合格率が「ほぼ全員」から3割程度に下がった地域もあるとされています
– 外国人ドライバーを採用する企業は、免許取得にかかる期間・費用・不合格時の対応をあらかじめ決めておく必要があります
特定技能ドライバーの受入れ体制が未整備の企業も多く、準備の差が採用の成否を分けます
「母国の免許を持っているから、すぐに運転してもらえるはず」——外国人ドライバーの採用でよくある期待ですが、2025年10月の制度変更で、その前提が大きく変わりました。本記事では、外免切替の厳格化の内容と、外国人ドライバーを採用・育成する企業が押さえておくべき実務ポイントを整理します。
外免切替とは
外免切替とは、外国で取得した運転免許を、日本の運転免許に切り替える手続きです。従来は手続きが比較的簡単で、短時間で日本の免許を取得できるケースがあり、制度の見直しを求める声が高まっていました。
2025年10月に何が変わったのか
住民票の写しが原則必須に
改正された道路交通法施行規則により、申請時には住民票の写しの提出が原則必須になりました。住民登録がない、つまり日本に住所がない人は、申請自体が受け付けられません。短期滞在の観光客などの申請は難しくなりました。
知識確認が10問から50問へ
これまでの知識確認は、イラストを使った10問程度の○×式でした。2025年10月以降は、50問の文章問題形式になり、合格に必要な正答率も90%(45問正解)に引き上げられました。日本の交通法規の理解を、より深く確認する内容になっています。
### 手続きの流れ
手続きの流れ
外免切替は、原則として次の流れで進みます。
1. 書類審査
2. 適性試験(視力など)
3. 知識確認
4. 技能確認
### 合格率が大きく低下したとの報道
合格率が大きく低下したとの報道
報道によると、厳格化の後、知識確認などの合格率が大きく下がり、「ほぼ全員合格」だった状況から3割程度まで落ちた地域もあるとされています。受験のたびに時間と費用がかかるため、採用スケジュールにも影響します。
背景にあった課題
外国人による死亡・重傷事故が年間数百件規模で発生しており、その多くが日本の免許を保有していたと報じられています。こうした状況を受けて、制度の厳格化が進められました。企業にとっては、免許の取得だけでなく、日本の交通ルールや運行管理への理解を深めてもらう教育の重要性が増しています。
特定技能ドライバーの受入れの現状
自動車運送業は、2024年3月に特定技能の対象分野となり、2024年12月に評価試験が始まりました。報道や調査によると、次のような状況です。
– 2025年12月末時点の自動車運送業分野の特定技能1号は151人
– 2026年に入ってから7か月間で、トラックの評価試験の合格者が2,500人を超えた
– 特定技能ドライバーの内定者が累計200人を超えた事例も報じられている
– 2026年9月の調査では、受入れ体制が未整備と回答した企業が7割を超えた
試験の合格者は増えている一方で、受け入れる企業側の体制整備が追いついていない状況がうかがえます。
特定技能ドライバーは「免許の取得」が在留資格申請の前提
特定技能「自動車運送業」では、運転者として働く本人に、次のような要件が求められます。
免許:トラックは第一種運転免許、バス・タクシーは第二種運転免許を有していること。在留資格を申請する前に取得している必要があります
日本語:トラックは日本語能力試験N4(またはJFT-Basic)、バス・タクシーはN3
評価試験:自動車運送業分野特定技能1号評価試験に合格すること
免許の取得方法
1. 日本の教習所での取得:「特定活動」の在留資格で入国して教習を受ける方法。受講期間はトラックで最長6か月、バス・タクシーで最長1年とされています
2. 外国免許の切替(外免切替):有効な外国の運転免許を持っていることが条件です
つまり、外免切替の厳格化は、特定技能ドライバーの受け入れにも直接関わります。最新の要件や運用は、国土交通省・出入国在留管理庁の案内で確認してください。
企業が押さえるべき実務ポイント
採用スケジュールに余裕を持つ
免許取得が必要な場合、知識確認の不合格や再受験を見込んで、入社時期や乗務開始の時期に余裕を持たせましょう。「入社したその日から運転できる」と想定した計画は避けるのが賢明です。特定技能では、免許の取得が在留資格の申請より前に必要になるため、免許の取得にかかる期間が、受け入れ全体のスケジュールに直接影響します。
費用負担の方針を決めておく
受験料、教材費、教習所に通う場合の費用など、誰がどこまで負担するのかを、採用前に決めておきましょう。不合格になった場合の再受験費用の扱いも、あらかじめ本人に説明しておくとトラブルを防げます。
学習環境を整える
知識確認が難しくなったため、学習時間の確保と教材の準備が重要です。出題言語は都道府県によって異なる場合があるため、事前に確認し、必要に応じて学習の支援をしましょう。
免許を持たない人に、社用車の運転を任せない
免許を持たない人に社用車の運転を任せないのは、大前提です。特定技能ドライバーの場合は、日本の運転免許の取得が在留資格を申請する前の要件とされているため、免許の取得が終わるまでは、特定技能としての就労は始まりません。それ以外の形で採用し、免許を取得するまでの期間がある場合は、運転以外の業務や同乗研修などで経験を積んでもらう計画を立て、その在留資格で認められる業務の範囲を、専門家に確認しておきましょう。
交通ルール・安全教育を免許取得後も継続する
免許を取得できたことと、日本の道路で安全に運転できることは別です。免許取得後も、運行管理、点呼、事故時の対応などを、多言語やイラストを使って繰り返し教育しましょう。
必要な免許区分は個別に確認する
営業用に運転する車両の区分によって、必要な免許の種類や運転経験の要件が異なります。在留資格の要件とあわせて、警察署・運転免許試験場や専門家に事前に確認してください。
社内の運行管理体制もセットで整える
免許の問題は、運送会社の受入れ体制の一部にすぎません。外国人ドライバーを乗務させるには、日常の運行管理のなかで、日本人ドライバーと同じ水準の安全管理を、言語の壁を越えて実現する必要があります。
点呼:運行前後の点呼で、体調・酒気帯びの確認、ルートや積荷の指示を、本人が理解できる言い方で行う
運行指示書:ルート、荷物の取扱い、時間指定などを、やさしい日本語や図、翻訳したメモで補足する
事故・トラブル時の連絡:事故や違反があったときの連絡先・報告の手順を、母国語や簡単な日本語で渡しておく
同乗指導:乗務開始後しばらくは、日本人の先輩ドライバーが同乗して指導する期間を設ける
こうした体制が整っていないまま乗務を始めると、本人にとっても企業にとってもリスクが大きくなります。
採用前の判断チェックリスト
採用前の判断チェックリスト
– 免許の取得ルート(外免切替・日本での取得)を、本人の状況に応じて整理したか
– 取得までの期間と費用、不合格時の対応を、本人に事前に説明したか
– 免許の取得が、在留資格の申請より前に必要かどうかを確認したか
– 点呼・運行指示・安全教育を、多言語やイラストで伝える準備があるか
– 同乗指導を担当する社員と、その時間を確保できるか
– 保険(任意保険など)の運転者の条件を、確認したか
よくある質問
Q. 母国で運転経験が豊富なら、知識確認は簡単ですか?
運転経験があっても、日本の交通ルールは細かい点で異なります。50問・正答率90%という基準を踏まえ、日本の法規を一から学ぶつもりで準備するのが現実的です。
Q. 外免切替と教習所での取得、どちらがよいですか?
本人の免許の有効性、滞在状況、期間や費用によって向き不向きがあります。個別の事情を踏まえて、運転免許試験場や専門家に相談しながら決めるのがおすすめです。
Q. 免許が取れなかった場合、採用は取り消せますか?
内定後に取り消す場合は、法的なリスクがあります。免許取得が採用の条件になるかどうかは、募集時点で明確にして、書面で説明しておきましょう。
まとめ
– 2025年10月から外免切替が厳格化され、知識確認は50問・正答率90%、住民票の写しが原則必須になった
– 合格率が大きく下がった地域もあり、免許取得には時間と費用がかかる前提で計画する
– 特定技能ドライバーは試験合格者が増える一方、受入れ体制が未整備の企業が多い
– スケジュールの余裕、費用負担の方針、学習環境、安全教育の継続が企業の実務ポイント
– 免許区分や在留資格の要件は個別に確認する
参考
– くるまのニュース「外免切替の手続き厳罰化!試験の合格率が大幅低下の都道府県も」https://kuruma-news.jp/post/984963
– ベストカーWeb「外国免許切替の合格率が『ほぼ全員合格』から3割に急落」https://bestcarweb.jp/?p=1387236
– 行政書士法人第一綜合事務所「外免切替に関する解説」https://dsg.or.jp/column/other-visas/18609/
– 物流ニュース LNEWS「特定技能ドライバー内定者が累計200人を突破」https://www.lnews.jp/2026/06/s0623506.html