【この記事の要点】
– 留学生を新卒採用するには、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などへ、在留資格の変更許可が必要です
– 4月から就労する場合は、12月1日から1月末までの申請が案内されています。卒業見込み証明書で申請できます
– 審査は、公式には2週間〜1か月程度とされますが、実際には1〜3か月かかる例も多く、早めの準備が大切です
– 内定者の入社前の就労は、資格外活動の範囲(原則週28時間以内)を超えないよう、注意が必要です
– 専攻と業務の関連性、報酬、日本語力、卒業の見込みを、内定の段階で確認しておきましょう
10月は、2027年3月卒業予定者の正式な内定が始まる時期です。留学生に内定を出した企業にとっては、ここからが、在留資格の変更に向けた準備の本番です。日本人の新卒採用と同じ感覚で進めると、申請の時期を逃し、4月に入社できないことにもなりかねません。本記事では、2027年4月入社の留学生を例に、10月から入社までのスケジュールと、押さえておきたい注意点を整理します。
留学生を採用するときの在留資格必要
「留学」から就労系の在留資格への変更が必要
留学の在留資格では、原則として就労できません。日本の企業に就職して、引き続き日本で働くには、「技術・人文知識・国際業務」など、就労が認められる在留資格への変更許可を、あらかじめ受ける必要があります。
変更の可否で見られる主なポイント
専攻と業務の関連性:大学や専門学校で学んだ内容が、担当する業務と関連しているか
業務の内容:専門的な知識や技術を必要とする業務か。単純作業が中心ではないか
報酬:日本人が同じ業務に就く場合と、同等以上の報酬か
会社の状況:事業の安定性や、継続性
専攻と業務が合っていないと、許可が下りない可能性があります。内定を出す前に、配属予定の業務と、本人の専攻を、照らし合わせておくことが大切です。
卒業後も就職活動を続ける場合
卒業までに内定が決まらなかった留学生が、卒業後も就職活動を続けるときは、条件を満たすと「特定活動」の在留資格で、在留を続けられる場合があります。期間や要件は、個別に確認が必要です。
2027年4月入社の全体スケジュール
| 時期 | 企業の主な動き | 留学生の主な動き |
| 10〜11月 | 正式な内定、労働条件の明示、在留資格の変更が可能かの確認 | 内定の承諾、書類の準備 |
| 12月1日〜1月末 | 在留資格変更許可申請(卒業見込み証明書で申請) | 申請、必要書類の提出 |
| 1〜2月 | 審査中の追加資料への対応、卒業要件の確認 | 卒業に向けた単位の取得 |
| 3月 | 許可の通知、在留カードの受け取りの案内 | 卒業、新しい在留カードの受け取り |
| 4月 | 入社、外国人雇用状況の届出、社会保険の手続き | 入社 |
日本人の就職活動の日程は、政府の要請で、広報活動が3月1日以降、採用選考が6月1日以降、正式な内定が10月1日以降とされています。実際には、インターンシップなどを通じて、早い時期から選考が進む傾向があります。
時期別の実務ポイント
10〜11月:内定と、在留資格の確認
内定を出す際は、労働条件を書面で明示します。あわせて、在留資格の変更ができなかった場合の取扱いを、あらかじめ本人に説明しておくと、後のトラブルを防げます。
– 専攻と業務の関連性を、確認する
– 報酬が、日本人と同等以上になっているかを、確認する
– 申請に必要な会社側の書類(雇用契約書、会社の資料など)を、早めに準備する
– 申請を行政書士に依頼する場合は、この時期に相談しておく
12月1日〜1月末:在留資格変更許可の申請
4月から就労する場合は、この期間に申請するよう案内されています。3月卒業予定の留学生は、卒業見込み証明書で申請できます。会社が用意する資料や、本人が用意する資料を、確認して、漏れなく提出しましょう。申請の方法には、オンライン申請も利用できます。
1〜2月:審査中の対応
審査中に、追加の資料を求められることがあります。連絡がきたら、速やかに対応しましょう。この期間は、本人が卒業の要件(単位)を満たしているかも、確認が必要です。卒業できない場合は、在留資格の変更ができず、入社も難しくなります。
3月:許可と、卒業
許可が下りたら、新しい在留カードを受け取ります。在留カードの内容(在留資格、在留期間、就労制限の有無)を、会社でも確認しましょう。許可が下りる前は、新しい在留資格による就労はできません。
4月:入社と、手続き
外国人雇用状況の届出、社会保険・雇用保険の手続きなど、日本人の新卒と共通する手続きに加えて、在留期限の管理を始めます。
内定者フォローの注意点
入社前の就労は、週28時間以内
留学生は、資格外活動許可の範囲で、アルバイトとして働けますが、原則として週28時間以内です。内定者研修や、入社前のアルバイトで、この時間を超えると、資格外活動違反になるおそれがあります。内定者に研修やアルバイトをお願いするときは、時間の管理に注意しましょう。
内定取消しのリスク
在留資格の変更が許可されなかった場合、予定どおりの入社ができなくなります。それを理由に、一方的に内定を取り消すことは、法的なトラブルにつながる可能性があります。許可の見込みが低いと判断したときの対応を、事前に整理し、本人に丁寧に説明しておきましょう。
生活面の不安へのフォロー
留学生は、就職後の生活(住居、銀行口座、社会保険など)に不安を持っています。入社前の面談や、オリエンテーションで、これらを案内すると、安心感につながります。住居については「外国人が日本で賃貸を借りる方法・コツ完全ガイド」、銀行口座については「外国人が日本で銀行口座を開設する方法完全ガイド」を参考にしてください。
採用選考の段階で確認したいこと
日本語力
法律で一律に求められる日本語の水準はありませんが、業務に必要な日本語力を、面接や筆記で確認することは大切です。入社後の日本語学習の支援も、あわせて検討しましょう。
専攻と配属予定の業務
履歴書や卒業見込みの情報から、専攻と業務の関連性を確認します。関連が薄い場合は、申請前に、行政書士へ相談することをおすすめします。
公正な選考
宗教や、出身地、家族の状況など、本人の責任ではない事項や、思想・信条に関わることを、選考で尋ねるのは、就職差別につながるおそれがあります。選考は、応募者の適性や能力に基づいて行いましょう。
2028年卒の採用に向けた、1年間の逆算
来年度の採用は、今から準備を始めると余裕が生まれます。
秋〜冬:今回の採用の振り返り、在留資格の申請で課題になった点の整理
春:採用計画の決定、受け入れ体制の見直し、募集要項の作成
夏:インターンシップの実施、留学生向けの会社説明
秋:選考、内定、在留資格の確認
留学生向けに、在留資格の変更の流れを分かりやすく説明する資料を作成しておくと、応募者の安心につながります。
よくある質問
Q. 申請が間に合わなかった場合は、どうなりますか?
卒業後も、在留期間が残っている間は、在留できる場合があります。ただし、許可が出るまで就労はできないため、入社日を後ろにずらすなどの対応が必要です。早めに申請することが何より重要です。
Q. 専門学校の卒業生も、採用できますか?
専門学校の卒業生も、専攻と業務の関連性などの要件を満たせば、技術・人文知識・国際業務で採用できる場合があります。個別の状況によって異なるため、専門家に確認しましょう。
Q. 9月に卒業する留学生を採用するには?
大学によっては、9月に卒業する学生もいます。その場合は、スケジュールが異なるため、卒業の時期から逆算して、申請の時期を決める必要があります。
Q. 不許可になった場合、どうすればよいですか?
不許可の理由を確認し、業務内容や書類の見直しによって、再申請できる場合があります。まずは、申請を担当した行政書士や、入管に確認してください。
まとめ
– 留学生の新卒採用には、「留学」から就労系の在留資格への変更許可が必要
– 4月就労の場合は、12月1日から1月末までに申請。卒業見込み証明書で申請できる
– 審査は1〜3か月かかる例もあり、10月から準備を始めるのが安全
– 内定者の入社前の就労は週28時間以内。内定取消しには慎重な対応が必要
– 専攻と業務の関連性、報酬、日本語力を、内定の前に確認する
参考
– 行政書士法人Tree「留学生の就職に伴う在留資格変更のタイミングとスケジュール」https://office-tree.jp/blog/immigration/ryugaku-shuro-henko-timing-schedule/
– 文部科学省・JASSO「留学生のための就職・在留手続き」https://www.studyinjapan.go.jp/ja/work-in-japan/immigration-procedures/
– 内閣官房「就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議」https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_katsudou_yousei/index.html
– 出入国在留管理庁「在留資格の変更」https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/index.html