【この記事の要点】
– 外国人雇用で、企業の担当者からよく聞かれる質問を、30問にまとめました
– 「採用前の基本」「手続きとコスト」「労務・待遇」「生活・定着」「税務・退職」の5つに分けています
– 各質問の最後に、詳しく解説した記事を案内しています
– 制度は毎年のように変わります。最新の情報は、出入国在留管理庁や厚生労働省で確認してください
– 判断に迷う場合は、行政書士や社会保険労務士など、専門家に相談しましょう
外国人材の受け入れが広がるなかで、「何を確認すればよいのか」「この対応で合っているのか」と迷う場面は、どの企業にもあります。本記事では、これまでに寄せられることの多い質問を、一問一答の形でまとめました。気になる質問から、読んでみてください。
1. 採用前の基本(Q1〜Q8)
Q1. 外国人を雇うとき、最初に何を確認すべきですか?
在留カードの原本で、在留資格、在留期間、就労制限の有無、資格外活動許可の有無を確認します。偽造が疑われる場合は、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」で、番号を確認できます。詳しくは「外国人雇用で失敗しないための法的リスクと対策」をご覧ください。
Q2. 不法就労をさせてしまうと、どうなりますか?
不法就労助長罪として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(またはその両方)の対象になる可能性があります。在留カードの確認を怠って、結果的に就労が認められない人を働かせた場合も、処罰を免れません。
Q3. 就労できない在留資格は、ありますか?
「留学」や「家族滞在」などは、原則として就労が認められていません。ただし、資格外活動許可を受けた場合は、その範囲内で働けます。留学生のアルバイトは、原則として週28時間以内で、学校の長期休暇中は1日8時間以内とされています。
Q4. 特定技能とは、どんな制度ですか?
人手不足の分野で、一定の技能と日本語力を持つ外国人を受け入れる制度です。1号は通算5年まで、2号は更新の上限がありません。2026年1月に、物流倉庫・資源循環・リネンサプライの3分野の追加が決定し、19分野体制になりました。新しい3分野の受け入れ開始は、2027年ごろと見込まれています。詳しくは「特定技能19分野・育成就労17分野の違い一覧」をご覧ください。
Q5. 「技術・人文知識・国際業務(技人国)」とは?
専門的な知識や技術を必要とする業務(エンジニア、通訳、企画・営業など)に就く人のための在留資格です。学歴や実務経験が求められ、現場の単純作業のみの仕事は、原則として認められません。業務内容と学歴・専攻の関連性が審査されます。
Q6. 育成就労とは?
技能実習に代わる新しい制度で、2027年4月1日に始まります。3年間で、特定技能1号の水準まで育成することが目的で、一定の要件のもとで、本人の意向による転籍も認められます。詳しくは「育成就労制度2027年4月スタート完全ロードマップ」をご覧ください。
Q7. 特定技能と技人国は、どちらを選べばよいですか?
現場の作業が中心で、対象分野に当てはまるなら特定技能、専門的な知識を使う仕事なら技人国が基本です。業務内容と、必要な在留期間、人材の確保しやすさで判断します。比較は「特定技能とは?技人国ビザとの違いを整備士・ドライバー採用で徹底比較」で解説しています。
Q8. 留学生を新卒で採用できますか?
できます。「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などへの、在留資格の変更許可が必要です。4月から就労する場合は、12月1日から1月末までの申請が案内されています。詳しくは「留学生の新卒採用スケジュール」の記事を参照してください。
2. 手続きとコスト(Q9〜Q14)
Q9. 外国人採用には、どんな費用がかかりますか?
求人や人材紹介の費用、在留資格の申請にかかる行政書士の費用や手数料、住居や生活の立ち上げ費用、研修・日本語教育の費用、特定技能1号では登録支援機関への委託費などがあります。採用のルートによって大きく異なるため、複数の見積りを取るのがおすすめです。詳しくは「外国人採用にかかるコストの全体像」をご覧ください。
Q10. 在留資格の申請は、自社でできますか?
申請は、原則として本人が行います。行政書士などの申請取次者に依頼することも可能です。企業は、雇用契約書や会社の資料を用意して協力します。2026年1月に在留申請オンラインシステムが刷新され、オンラインでの手続きがしやすくなりました。
Q11. 在留期限は、どう管理すればよいですか?
社員ごとに期限を台帳で管理し、期限の3〜6か月前に、本人へ案内するのが安全です。更新の申請は、在留期間の満了日の3か月前から行えます。期限が切れたあとも働かせると、不法就労になります。
Q12. ハローワークへの届出は、必要ですか?
外国人を雇い入れたとき、離職したときは、届出が必要です。雇用保険の被保険者かどうかで、手続きと期限が異なります。届出を怠ると、30万円以下の罰金の対象になります。
Q13. 在留手続きの手数料が上がると聞きました。
2026年5月に改正入管法が成立し、在留資格の変更・更新の手数料の上限が10万円、永住許可の上限が30万円に引き上げられました。実際の金額は、今後の政令で決まります。詳しくは「入管法改正で在留手続き手数料が最大30倍に」をご覧ください。
Q14. 使える助成金は、ありますか?
外国人向けでは、「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」などがあります。要件や金額は年度によって変わり、事前の計画届が必要なものが多いため、取り組みの前に確認してください。詳しくは「外国人採用で使える助成金・補助金まとめ」をご覧ください。
3. 労務・待遇(Q15〜Q22)
### Q15. 日本人と同じ待遇にする必要がありますか?
Q15. 日本人と同じ待遇にする必要がありますか?
労働基準法は、国籍を理由にした賃金や労働時間などの差別的な取扱いを禁止しています。特定技能や育成就労では、日本人と同等以上の報酬であることも求められます。
Q16. 最低賃金は、外国人にも適用されますか?
はい。国籍や在留資格にかかわらず適用されます。2026年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,177円(前年度から56円増)で、発効日は地域ごとに異なります。詳しくは「2026年度の最低賃金改定」をご覧ください。
### Q17. 外国人も、社会保険に加入させる必要がありますか?
Q17. 外国人も、社会保険に加入させる必要がありますか?
要件を満たせば、国籍や在留資格にかかわらず加入が必要です。2026年10月から、賃金要件(いわゆる106万円の壁)が撤廃され、週20時間以上働く人は、賃金額にかかわらず加入対象になります。詳しくは「社会保険『106万円の壁』撤廃で外国人アルバイト・パート雇用はどう変わる?」をご覧ください。
Q18. 労災保険は、適用されますか?
はい。国籍や在留資格にかかわらず、適用されます。外国人労働者の労災の発生率は、全体より高い傾向にあり、多言語での安全教育が重要です。詳しくは「外国人労働者の労災発生率はなぜ高いのか」をご覧ください。
Q19. 労働条件は、外国語で伝える必要がありますか?
外国語での交付が法律で一律に義務づけられているわけではありませんが、本人が理解できる方法で、労働条件を明示することが求められます。特定技能では、契約の内容を理解できる言語での説明(事前ガイダンス)が、支援の一部になっています。
Q20. 日本語が十分でない社員には、どう指示すればよいですか?
「やさしい日本語」で短く伝え、写真や図、動画を使うのが基本です。多言語の手順書や用語集を用意し、最初は先輩とのペア作業で、実際に見せながら教えると効果的です。詳しくは「整備工場の多言語マニュアル・作業指示書の作り方」をご覧ください。
Q21. ハラスメントには、どんな点に注意すべきですか?
国籍やルーツに関する侮蔑的な言動は、パワーハラスメントにあたります。事業主には防止措置を講じる義務があります。社内外の相談窓口を整え、管理職への研修を行いましょう。詳しくは「外国人労働者へのレイシャルハラスメント」をご覧ください。
Q22. 宗教や食事への配慮は、必要ですか?
一律に義務づけられているわけではありませんが、宗教を理由にした差別的な取扱いは避ける必要があります。安全や職場運営に支障のない範囲で、配慮を検討するのが適切です。詳しくは「外国人社員への宗教・食文化の配慮」をご覧ください。
4. 生活・定着(Q23〜Q26)
Q23. 住居探しは、会社が手伝うべきですか?
義務ではありませんが、保証人が見つからず、部屋を借りられない例は多くあります。社宅の提供や、保証会社の紹介があると、入社前の不安が大きく減ります。詳しくは「外国人が日本で賃貸を借りる方法・コツ完全ガイド」をご覧ください。
Q24. 銀行口座が作れない場合は、どうすればよいですか?
在留期間の残りや、住民登録の有無が壁になることが多くあります。住民登録を早めに済ませ、複数の金融機関を検討しましょう。詳しくは「外国人が日本で銀行口座を開設する方法完全ガイド」をご覧ください。
Q25. 離職を防ぐには、どうすればよいですか?
入社前の受け入れ準備、最初の3か月のOJT、定期的な面談、キャリアパスの提示が基本です。資格を持たない人材には、資格取得のサポートも、定着に効果的です。詳しくは「外国人社員の定着率を上げる職場環境づくり」をご覧ください。
Q26. 家族を呼び寄せることはできますか?
技人国の場合は、「家族滞在」の在留資格で、配偶者や子どもを呼べます。特定技能1号や育成就労は、原則として家族の帯同はできません。特定技能2号は、要件を満たせば可能です。詳しくは「特定技能2号の対象分野と移行条件」をご覧ください。
5. 税務・退職(Q27〜Q30)
Q27. 外国人社員も、年末調整の対象ですか?
年末調整の対象は、居住者です。日本に住所がある人、または1年以上居所がある人が、居住者にあたります。非居住者は対象外です。詳しくは「外国人社員の年末調整」をご覧ください。
Q28. 母国の家族を、扶養に入れたいと言われました。
2023年分から要件が厳しくなり、親族関係書類や、金融機関を通じた送金の記録が必要です。現金の手渡しは、送金として認められません。詳しくは「国外居住親族の扶養控除、送金要件を満たさないと否認される」をご覧ください。
Q29. 退職・帰国するときは、どんな手続きが必要ですか?
会社は、社会保険・雇用保険の資格喪失、外国人雇用状況の届出、源泉徴収票の交付などを行います。本人には、住民税の精算または納税管理人の届出、脱退一時金の請求、入管への届出(契約終了から14日以内)などを案内します。詳しくは「外国人社員の退職・帰国時の手続き完全ガイド」をご覧ください。
Q30. 社員から、永住申請の相談を受けました。
永住許可のガイドラインは、2026年10月1日に改定されました。2027年4月1日以降の申請には、新しいガイドラインが全面的に適用されます。会社は、在職証明書や源泉徴収票などの書類で協力できます。詳しくは「永住許可ガイドラインが改定(2026年10月1日)」と「外国人社員の永住申請、会社はどう支える?」をご覧ください。
まず取り組みたい5つのこと
– 在留カードの確認と、在留期限の管理を、仕組みにする
– ハローワークへの届出と、社会保険の加入に、漏れがないかを点検する
– 労働条件を、本人が理解できる方法で伝える
– 受け入れる分野に応じて、在留資格と必要な手続きを整理する
– 最新の制度改正を、定期的に確認する習慣をつくる
まとめ
– 外国人雇用の基本は、在留カードの確認、届出、適正な労務管理の3つ
– 特定技能・技人国・育成就労は、業務内容と期間に応じて選ぶ
– 最低賃金、社会保険、労災は、国籍にかかわらず適用される
– 生活の立ち上げと、日本語・資格取得の支援が、定着の鍵になる
– 制度は変わり続けるため、公式情報の確認と、専門家への相談を習慣にする
参考
– 出入国在留管理庁「在留カード等番号失効情報照会」https://lapse-immi.moj.go.jp/
– 出入国在留管理庁「特定技能制度」https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/tokutei_index.html
– 厚生労働省「外国人雇用に関する法律」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/index.html
– 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html