「高度専門職」という在留資格は、一般的な就労ビザと比べて優遇措置が多いことで知られていますが、その仕組みは複雑で、採用担当者でも正確に理解できていないケースが少なくありません。2026年は年収要件の見直しが報道されるなど、制度への関心が高まっているタイミングでもあります。本記事では、高度専門職ポイント制の基本と、1号・2号の違い、永住許可が早まる仕組みをわかりやすく解説します。
高度専門職とはどのような在留資格か
高度専門職は、日本の経済成長やイノベーション創出に貢献が期待される高度な資質・能力を持つ外国人材を対象とした在留資格です。一般的な就労系の在留資格と異なり、学歴・職歴・年収・年齢・研究実績などをポイント化し、合計70点以上になった人材が優遇措置の対象となる「ポイント制」を採用している点が最大の特徴です。
高度専門職1号の3つの類型
高度専門職1号は、活動内容に応じて次の3つの類型に分かれます。
イ:高度学術研究活動
大学教授や研究機関の研究者など、学術研究に従事する人材が対象です。
ロ:高度専門・技術活動
自然科学・人文科学の分野の知識・技術を要する業務に従事する人材が対象で、エンジニアやITスペシャリストなど、企業で採用されるケースの多くはこの類型に該当します。
ハ:高度経営・管理活動
企業の経営者・役員として、事業の経営や管理に従事する人材が対象です。
ポイント制の仕組み
学歴(博士号・修士号など)、職歴(実務経験年数)、年収、年齢、研究実績(論文・特許など)、日本語能力といった項目がそれぞれ点数化され、合計点によって優遇措置の内容が変わります。
70点以上:高度専門職1号として認定され、各種優遇措置の対象になる
80点以上:より手厚い優遇措置(永住許可要件のさらなる短縮など)が適用される
年収はポイント配分の中でも重視される項目のひとつで、年収が高いほど加点が大きくなる仕組みになっています。
高度専門職1号のメリット
複合的な在留活動が可能
通常の就労ビザでは許可された活動範囲を超える業務はできませんが、高度専門職1号では、複数の在留資格にまたがるような複合的な活動(研究activities+教育活動など)が可能になります。
配偶者の就労・親の帯同
一定の要件のもとで、配偶者が本来の在留資格では認められない範囲の就労を行えたり、要件を満たせば高齢の親を帯同したりすることが認められる場合があります。
永住許可要件の大幅な短縮
通常、永住許可の申請には引き続き10年以上日本に在留していることが要件とされます。しかし、高度専門職ポイント制で70点以上を満たす人材は3年、80点以上を満たす人材は1年の在留で永住許可を申請できる特例があります。これは、高度専門職の中でも特に大きなメリットのひとつとされています。
高度専門職2号とは
高度専門職1号として一定期間(原則3年以上)在留し、要件を満たした人材は、高度専門職2号への移行が可能です。2号では、在留期間の更新に上限がなくなり、ほぼすべての就労活動が行えるようになるなど、1号よりもさらに活動制限が緩和されます。長期的なキャリアを日本で築きたい高度人材にとって、2号への移行は大きな目標のひとつになります。
企業が高度専門職人材を採用・処遇する際のポイント
ポイント計算のシミュレーションを候補者と一緒に行う
採用選考の段階で、候補者の学歴・職歴・想定年収などをもとにポイントを試算しておくことで、高度専門職として認定される見込みがあるかを事前に把握できます。行政書士等の専門家に相談しながら進めると精度が高まります。
年収設定を70点・80点のボーダーと照らし合わせる
年収はポイントに直結する重要な項目です。候補者が70点・80点のボーダーライン付近にいる場合、年収を少し引き上げるだけでポイントが加算され、優遇措置の対象になる可能性があります。処遇設計の際にこの点を意識しておくと、採用競争力の向上にもつながります。
制度改正の動向を注視する
2026年は年収要件をはじめとする制度見直しが報道された年でもあります。ポイント制の配点や年収要件は今後変更される可能性があるため、最新情報を継続的に確認しながら採用・処遇の方針を柔軟に見直していく姿勢が求められます。
よくある質問
Q. 高度専門職とエンジニア向けの「技術・人文知識・国際業務」は何が違いますか?
技術・人文知識・国際業務が個々の業務内容に着目した在留資格であるのに対し、高度専門職は本人の学歴・職歴・年収などを総合的にポイント化して評価する点が異なります。優遇措置の手厚さも高度専門職のほうが大きいのが特徴です。
Q. ポイントが70点に届かない場合、高度専門職としての採用は諦めるべきですか?
70点に届かない場合でも、技術・人文知識・国際業務など他の在留資格での採用は可能です。将来的に昇給や実績の蓄積によってポイントが上がった段階で、あらためて高度専門職への変更を検討するという段階的なアプローチも考えられます。
採用ブランディングとして活用
高度専門職としての採用実績やポイント試算のサポート体制を持っていることは、優秀な外国人材に対する訴求材料にもなります。永住許可が大幅に早まるという分かりやすいメリットを、求人票や面談の場で具体的に伝えられる企業は、同水準の待遇を提示する競合他社との差別化を図りやすくなります。
まとめ
– 高度専門職は学歴・職歴・年収などをポイント化する「ポイント制」を採用した在留資格
– 1号は「イ・ロ・ハ」の3類型に分かれ、70点以上で認定、80点以上でより手厚い優遇措置が適用される
– 永住許可の要件が、通常10年から70点で3年、80点で1年に短縮される特例が最大のメリットのひとつ
– 1号として一定期間在留後、要件を満たせば在留期間の上限がない2号へ移行できる
– 2026年は制度見直しが報道されており、企業は年収設定や採用計画に最新情報を反映させる必要がある
参考
– 出入国在留管理庁「高度人材ポイント制」https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/newimmiact_3_index.html
– visa-con「【2026年最新版】高度人材ポイント制とは?企業メリットや計算方法、優遇措置を徹底解説」https://visa-con.com/highly-skilled-professional/
– 行政書士法人Tree「高度専門職の認定基準を厳格化へ|年収条件引き上げ・評価項目見直し【2026年8月14日日経報道】」https://office-tree.jp/blog/immigration/koudo-senmonshoku-ninteikijun-genkakuka-2026/
– 出入国在留管理庁「在留資格『高度専門職』」https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/index.html