日本語教育

特定技能人材の採用を検討する際、避けて通れないのが日本語能力の証明です。「JFT-Basic」「JLPT」という2つの試験名を見聞きしたことはあっても、それぞれの違いや、どちらを基準にすればよいのか正確に理解している採用担当者は意外と多くありません。本記事では、特定技能で求められる日本語試験の種類とレベル、サンプル問題の探し方を解説します。

特定技能で求められる日本語能力の基準

特定技能1号の在留資格を取得するには、日常生活および業務上必要な日本語能力を有していることの証明が必要です。この証明方法として認められているのが「JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)」と「JLPT(日本語能力試験)」の2つです。いずれか一方に合格していれば、日本語能力の要件を満たすことができます(分野によっては技能実習2号を良好に修了していることで日本語要件が免除される場合もあります)。

JFT-Basicとは

試験の目的とレベル

JFT-Basicは、国際交流基金が実施する試験で、日本での日常生活に必要な基礎的な日本語でのコミュニケーション能力を測定することを目的としています。結果はA1・A2.1・A2.2(A2)の3段階で判定されます。

合格ラインと試験形式

特定技能に必要な水準は「A2相当」とされ、250点満点中200点以上を取得することが目安とされています。試験はCBT方式(コンピューターを使った試験)で実施され、多くの国・地域で毎月に近い頻度で実施されているのが特徴です。結果が比較的早く分かる点も、JLPTとの大きな違いです。

サンプル問題の確認方法

JFT-Basicの公式サイトでは、試験の出題形式を確認できるサンプル問題やよくある質問(FAQ)が公開されています。受験を検討している人材には、事前にこうした公式情報を確認してもらうことで、試験当日のイメージを持ちやすくなります。

JLPTとは

試験の目的とレベル

JLPTは、日本語を母語としない人の日本語能力を測定する、最も広く知られた試験のひとつです。N1(最上級)からN5(初級)までの5段階でレベルが判定されます。

特定技能に必要なレベル

特定技能1号の日本語要件を満たすには、原則としてN4以上の合格が必要とされています。N4は「基本的な日本語を理解することができる」レベルとされ、日常生活の中でややゆっくりと話される会話であれば、内容をほぼ理解できる水準です。

試験形式と実施頻度

JLPTはマークシート方式で実施され、世界各国で年2回(7月・12月が中心)実施されます。JFT-Basicと比べて実施回数が少ないため、受験のタイミングを逃すと次の機会まで期間が空いてしまう点に注意が必要です。

JFT-BasicとJLPT、どちらを勧めるべきか

受験の手軽さを重視するならJFT-Basic

CBT方式で毎月に近い頻度で実施され、結果もすぐに分かるため、短期間で合否を確認したい場合や、受験機会を逃したくない場合にはJFT-Basicが選ばれる傾向があります。

すでにJLPTの学習を進めているならJLPT

日本語学校などですでにJLPT対策の学習を進めている人材であれば、N4合格を目指す形で受験するのが効率的です。JLPTは特定技能以外の場面(進学・他の在留資格の要件など)でも広く通用する資格である点もメリットです。

企業が採用選考で確認すべきポイント

合格証明書の有効期限・原本確認

JFT-BasicもJLPTも、合格証明書や結果通知の原本(またはそれに準ずる証明書類)の提示を求め、在留資格の申請時に必要な書類として準備しておく必要があります。

試験合格後のブランクに注意

日本語試験に合格してから採用・入国までに長い期間が空くと、実際の日本語運用能力が低下しているケースもあります。面接時に簡単な日本語での会話を交え、実際のコミュニケーション能力を確認しておくと、入社後のミスマッチを防げます。

受験対策の支援も検討する

送り出し国側で日本語学習の機会が限られている場合、企業側が教材や学習時間の確保を支援することで、受験のハードルを下げられます。特にJFT-Basicは公式サイトの学習コンテンツが充実しているため、受験前の自己学習にも活用しやすい試験です。

よくある質問

Q. 技能実習2号を修了していれば日本語試験は不要ですか?

分野によっては、技能実習2号を良好に修了していることをもって、特定技能1号の日本語要件が免除される取り扱いがあります。ただし対象となる分野や修了状況の確認方法は個別に異なるため、行政書士等の専門家に確認することをおすすめします。

Q. JFT-BasicとJLPTを両方受験することはできますか?

両方受験することも可能です。JFT-Basicで早めに要件を満たしておき、並行してJLPTの上位級を目指すといった進め方をする人材もいます。

日本語能力と業務内容のミスマッチに注意

日本語試験に合格していても、実際の業務で求められる専門用語や現場特有の言い回しまではカバーされていない場合があります。試験の合格はあくまで最低限の要件を満たした証明であり、入社後は現場に即したOJTや日本語学習支援をあわせて行うことで、実務でのコミュニケーションの質を高めていくことが重要です。

日本語試験に関する情報を探す人の多くは、企業の採用担当者だけでなく、これから受験しようとしている本人やその家族、送り出し機関の担当者であるケースも少なくありません。試験のサンプル問題や勉強方法に関する情報へのニーズは根強く、こうしたテーマでコンテンツを発信することは、採用候補者となる外国人材本人に直接リーチできる貴重な接点にもなります。採用活動の一環として、日本語学習に役立つ情報を発信していく視点も持っておくとよいでしょう。

まとめ

– 特定技能1号の日本語要件は「JFT-Basic」または「JLPT」のいずれかの合格で満たすことができる

– JFT-BasicはA2相当(250点中200点以上)が目安で、CBT方式・高頻度で実施される

– JLPTはN4以上が目安で、マークシート方式・年2回の実施

– 受験の手軽さを重視するならJFT-Basic、既存の学習実績を活かすならJLPTが選ばれやすい

– 採用選考では合格証明書の確認に加え、実際の会話力も確認しておくと安心

参考

– 国際交流基金「JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト」https://www.jpf.go.jp/jft-basic/

– マイナビグローバル「特定技能に必要な『JFT-Basic』とは?JLPTとの違いや試験情報を解説」https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/know-how/23128

– 日本語能力試験公式サイト「JLPT」https://www.jlpt.jp/

– 出入国在留管理庁「特定技能制度」https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/tokutei_index.html