離職

「特に不満は聞いていなかったのに、ある日突然辞めたいと言われた」——外国人材を受け入れている企業から、こうした声を聞くことが増えています。実際には突然ではなく、小さな変化のサインを誰も拾えていなかっただけというケースが少なくありません。本記事では、外国人材の定着がうまくいかない構造的な理由と、登録支援機関・監理支援機関の間で活用が広がりつつあるAI活用の定着支援プラットフォーム「KIZASHI」の仕組みを紹介し、受け入れ企業が自社の支援体制を見直すための視点を整理します。

なぜ今、外国人材の「定着」が採用の成否を分けるのか

受け入れの選択肢が広がり、「選ばれる」時代になった

特定技能の受け入れ規模拡大や対象分野の追加、育成就労制度の創設など、外国人材を取り巻く制度は急速に整備されています。これは働く側にとって、勤務先を選ぶ選択肢が増えたことを意味します。受け入れ企業に求められているのは「来てもらうこと」ではなく、数ある選択肢の中から「選ばれ続けること」に変わりつつあります。

情報がすぐに広がり、比較・移動の判断が早くなった

SNSや口コミによって、職場・地域・待遇に関する情報は瞬時に共有されるようになりました。給与だけでなく、人間関係・住環境・将来性まで比較材料になり、条件や相性が合わなければ次の選択肢へ動く判断も速くなっています。これは日本人労働者と何も変わらない、ごく自然な行動の変化です。だからこそ、受け入れ後の関わり方や支援の質が、そのまま定着率に直結します。

定着がうまくいかない現場に共通する3つの課題

多くの受け入れ企業・支援機関の現場では、次の3つの実態が重なって離職につながっています。

課題①:気づけない

継続的に本人の声を拾う体制がなく、トラブルが起きてから初めて対応するのが基本になっているケースです。早い段階の異変を捉えられず、離職の兆候を見逃してしまいます。

課題②:動けない

対応が担当者の勘や経験に頼り切りになっており、誰を優先的に確認し、何を聞くべきかが属人化しています。組織として一貫した対応ができず、結果として離職率が高止まりします。

課題③:伝えられない

支援の記録が体系的に残らず、いつ・誰が・何を確認し、どう対応したかがわからない状態です。客観的な事実をもとに支援の改善や企業への説明ができず、信頼や評価の低下につながります。

この3つが放置されたままだと、離職が増える、企業からの信頼が下がる、他社に切り替えられるという悪循環に陥りやすくなります。

定着支援を「仕組み」で回すプラットフォーム「KIZASHI」

こうした課題に対応するために生まれたのが、株式会社e-Bridgeが開発・運営する定着支援プラットフォーム「KIZASHI」です。外国人材の声を継続的に集め、変化や兆しを捉え、優先順位を整理し、対応・記録・報告までをひとつの流れでつなげる仕組みで、登録支援機関・監理支援機関が定着支援を感覚ではなく仕組みとして進めるために設計されています。

STEP1:月次で母国語アンケートを配信し、本音を集める

インドネシア語・ベトナム語・ミャンマー語・タガログ語など、母国語かつ普段使いのチャットツールで毎月アンケートを配信します。絵文字で直感的に回答できるフォームで、母国語表示のため安心して回答でき、単発ではなく月次で継続することで前月との変化を追える状態をつくります。

STEP2〜3:AIが変化・兆しを捉え、優先順位を整理する

AIがアンケート回答を分析し、対応優先度を自動で可視化します。低スコアやコメント内容、前月からの変化をもとに、気になる回答があれば母国語で追加質問を行い、表面的な回答だけでは見えない背景まで深掘りします。そのうえで「今、誰から動くべきか」を優先アラートとして示します。

STEP4:面談の型を提示し、対応品質を平準化する

優先的に対応すべき人を特定するだけでなく、深掘り結果をもとに担当者が面談で聞くべき質問まで提示します。担当者の経験に依存せず、誰が対応しても一定水準の支援ができる状態をつくる工夫です。

STEP5:記録・報告し、次の判断と改善につなげる

面談や対応が終わった後の内容を記録し、対応履歴として蓄積します。誰が対応しても支援の連続性が途切れにくくなるほか、「何をして、どう変わったか」をデータで可視化して企業に共有できるため、支援費(監理費)の根拠を示す材料にもなります。

受け入れ企業にとってのメリット

支援機関側の業務効率化だけでなく、受け入れ企業側にも次のようなメリットがあります。

– 外国人材の状態変化を継続的に把握できる

– 定着支援の実施状況が見える化される

– 支援の成果や改善の動きが具体的に伝わる

「ちゃんと支援しています」という言葉だけでなく、誰に・いつ・何をして、その結果どうなったかをデータで確認できることは、支援機関を選ぶ・契約を継続する際の重要な判断材料になります。

使うほど精度が上がる仕組み

KIZASHIは、対応すべき人材や聞くべき質問を提示して終わる仕組みではありません。担当者が実際に対応した結果をフィードバックすることで、現場の行動データが蓄積されていきます。

– **外国人材の声**:アンケート回答・深掘り質問・コメントのニュアンス

– **現場のフィードバック**:AI判定が妥当だったかという根拠と現場の実態

– **行動履歴と結果**:どう対応し、その結果どうなったか

これら3つのデータが積み上がるほど、組織に合ったアラート判断に近づいて優先度の過不足が減り、何が有効だったかが見えて対応パターンが組織の資産になり、再発防止がテンプレート化されて同じ失敗を繰り返しにくくなります。使えば使うほど、自社の組織に合った支援プラットフォームへ育っていく設計です。

自社の受け入れ体制を見直すために、企業ができること

自社で直接KIZASHIを導入するかどうかに関わらず、この仕組みが示す視点は、外国人材を受け入れているすべての企業にとって参考になります。契約中の登録支援機関・監理支援機関に、次のような点を確認してみることをおすすめします。

– 本人の声を、どのくらいの頻度で・どのような方法で継続的に把握しているか

– 対応の優先順位づけが、担当者個人の判断だけに依存していないか

– 面談・対応の記録が蓄積され、担当者が変わっても引き継げる状態になっているか

– 「何をして、どう変わったか」を定期的に報告してもらえているか

これらに明確に答えられない支援機関であれば、支援が属人的になっているサインかもしれません。定着支援が仕組み化されているかどうかは、外部からは見えにくい部分だからこそ、受け入れ企業側から積極的に確認する価値があります。

よくある質問

**Q. KIZASHIは受け入れ企業が直接契約するサービスですか?**

主な導入対象は登録支援機関・監理支援機関です。弊社で支援をする企業様にはフリーで提供しています。

Q. 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?

申し込みから初期設定(外国人材・企業データの登録、配信スケジュールの設定、担当者向け操作レクチャーなど)を経て、最短即日から2週間〜1か月程度で運用を開始できるとされています。運用開始後も継続的な活用サポートが受けられます。

**Q. 料金体系はどうなっていますか?**

弊社の支援料金の中に含まれています。

まとめ

– 外国人材にとって受け入れ先の選択肢が増え、企業は「選ばれ続ける」姿勢が求められている

– 離職の多くは「気づけない」「動けない」「伝えられない」という支援の属人化から起きている

– KIZASHIは母国語アンケート×AI分析で変化を可視化し、対応・記録・報告までを仕組み化するプラットフォーム

– 受け入れ企業にとっては、外国人材の状態変化や支援の成果が見える化されるメリットがある

– 自社で導入せずとも、支援機関に「声の把握」「優先順位づけ」「記録」「報告」の体制を確認することが定着率向上の第一歩になる