育成就労

外国人材の受け入れを検討する際、多くの企業担当者が最初につまずくのが「自社の業種はそもそも対象になるのか」という点です。2026年1月の分野追加により特定技能は19分野に拡大し、2027年4月に施行される育成就労制度は17分野程度が対象になる見込みです。似ているようで範囲が異なるこの2つの制度を、一覧表で整理して解説します。

特定技能が19分野に拡大

従来の16分野

特定技能制度は2019年の創設以来、介護・ビルクリーニング・工業製品製造業・建設・造船舶用工業・自動車整備・航空・宿泊・農業・漁業・飲食料品製造業・外食業・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の16分野を対象としてきました(分野の呼称・区分は時期により整理されています)。

2026年1月に追加された3分野

政府は2026年1月23日、受入れ対象分野の方針を決定し、「物流倉庫」「資源循環」「リネンサプライ」の3分野を新たに追加しました。これにより特定技能は19分野体制となり、対象業種の幅が大きく広がっています。

育成就労は17分野程度が対象

育成就労制度の対象分野は、特定技能制度の分野とおおむね一致する形で整理されており、次の17分野程度が見込まれています。

– 介護

– ビルクリーニング

– リネンサプライ

– 工業製品製造業

– 建設

– 造船・舶用工業

– 自動車整備

– 宿泊

– 鉄道

– 農業

– 漁業

– 飲食料品製造業

– 外食業

– 林業

– 木材産業

– 物流倉庫

– 資源循環

特定技能19分野 全一覧表

自社の該当可否をひと目で確認できるよう、特定技能19分野と育成就労での対応可否を一覧にまとめました。

| No. | 分野名 | 育成就労での対象 |

| 1 | 介護 | 対象 |

| 2 | ビルクリーニング | 対象 |

| 3 | 工業製品製造業 | 対象 |

| 4 | 建設 | 対象 |

| 5 | 造船・舶用工業 | 対象 |

| 6 | 自動車整備 | 対象 |

| 7 | 航空 | 対象外 |

| 8 | 宿泊 | 対象 |

| 9 | 農業 | 対象 |

| 10 | 漁業 | 対象 |

| 11 | 飲食料品製造業 | 対象 |

| 12 | 外食業 | 対象 |

| 13 | 自動車運送業 | 対象外 |

| 14 | 鉄道 | 対象 |

| 15 | 林業 | 対象 |

| 16 | 木材産業 | 対象 |

| 17 | 物流倉庫(新設) | 対象 |

| 18 | 資源循環(新設) | 対象 |

| 19 | リネンサプライ(新設) | 対象 |

表のとおり、育成就労で対象外となるのは「航空」「自動車運送業」の2分野のみです。この2分野で外国人材を受け入れたい場合は、育成就労を経由せず、特定技能評価試験に直接合格するルートや、技術・人文知識・国際業務など他の在留資格の活用を検討する必要があります。

特定技能と育成就労で対象分野が異なる理由

育成就労制度の対象分野は、特定技能19分野のうち「航空」「自動車運送業」を除いた形で整理されています。これは、育成就労が3年間で技能を育成し特定技能1号レベルへつなげることを目的とした制度であるため、育成期間中の教育体制や安全確保の観点から、当面は対象分野を絞り込んでいるためと考えられます。つまり、航空・自動車運送業の2分野については、特定技能での即戦力人材の受け入れは可能でも、育成就労を経由したルートは現時点では想定されていません。

自社が対象になるかを確認する3ステップ

ステップ1:業種を特定技能の分野一覧と照合する

まずは自社の主要事業が19分野のいずれかに該当するかを確認します。分野の名称だけでなく、対象業務の詳細区分まで確認することが重要です。同じ「製造業」でも、対象となる工程とならない工程が分かれているケースがあります。

ステップ2:即戦力採用か、育成からのスタートかを検討する

すでに技能を持つ人材をすぐに採用したい場合は特定技能、時間をかけて自社で育成したい場合や、対象分野が育成就労にしかない場合は育成就労を検討します。

ステップ3:分野ごとの受入れ見込み数を確認する

新設分野は受入れ見込み数の上限が定められています。リネンサプライは7,700人、物流倉庫・資源循環も一定の枠が設定されているため、業界全体の動向とあわせて確認しておくと採用計画が立てやすくなります。

分野選びで失敗しないための注意点

対象分野に該当するかどうかの判断は、業種名だけでなく実際の業務内容に基づいて行われます。「うちは製造業だから対象のはず」といった思い込みで進めてしまうと、後から在留資格の申請が通らないというトラブルにつながりかねません。少しでも判断に迷う場合は、出入国在留管理庁の相談窓口や行政書士に事前に確認することを強くおすすめします。

分野が複数にまたがる企業はどう考えるべきか

物流と製造を両方手がける企業、宿泊と飲食を併営する企業など、複数の分野にまたがる事業を展開している場合は、業務内容ごとに分野を分けて検討する必要があります。たとえば同じ企業内でも、工場勤務者は「工業製品製造業」、倉庫勤務者は「物流倉庫」というように、配置予定の業務に応じて申請する分野を個別に判断します。ひとつの在留資格で複数分野の業務を横断的に行わせることは原則として認められていないため、採用計画の段階で配置先の業務内容を明確にしておくことが重要です。

分野一覧は今後も更新される前提で確認する

特定技能・育成就労の対象分野は、これまでも社会情勢や人手不足の状況に応じて段階的に拡大されてきました。2019年の制度創設時は12分野でしたが、2024年に自動車運送業・鉄道・林業・木材産業が加わり16分野となり、2026年にさらに3分野が追加されて19分野となっています。今回の一覧表もあくまで2026年時点のものであり、今後も分野の追加・見直しが行われる可能性があります。定期的に出入国在留管理庁の公式発表を確認する習慣をつけておくことをおすすめします。

まとめ

– 特定技能は2026年1月の分野追加により19分野体制に拡大した

– 新設分野は「物流倉庫」「資源循環」「リネンサプライ」の3つ

– 育成就労は特定技能19分野から「航空」「自動車運送業」を除いた17分野程度が対象

– 自社の対象可否は業種名でなく実際の業務内容で判断する必要がある

– 判断に迷う場合は専門家や出入国在留管理庁への相談を推奨

参考

– 出入国在留管理庁「特定技能制度及び育成就労制度の受入れ対象分野(新たに追加等を行う分野等)の詳細(案)」https://www.moj.go.jp/isa/content/001440967.pdf

– 出入国在留管理庁「特定技能制度」https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/tokutei_index.html

– 法務省「育成就労制度の創設について」https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri06_00149.html

– JITCO「育成就労制度の概要」https://www.jitco.or.jp/ja/skill/