育成就労

【この記事の要点】

– 育成就労は2027年4月1日に施行されます。受入れ企業(受入機関)にも、新しい要件が課されます

– 過去5年以内に不正行為がないこと、育成・支援体制の整備、労働関係法令の遵守、日本人と同等以上の賃金などが主な要件です

– 監理支援機関には、外部監査人の必置や、受入れ企業との中立性の確保が求められます

– 監理支援機関の許可申請は、施行日から業務を始めたい団体で2026年9月30日までが目安とされていました

– 今のうちに、委託先が新制度に対応できるかを確認し、自社の受け入れ体制を見直しておきましょう

技能実習から育成就労への移行まで、あと半年を切りました。「うちは監理団体に任せているから大丈夫」と考えている企業も多いかもしれませんが、育成就労では受入れ企業自身にも新しい要件が課され、委託先の監理支援機関も許可を取り直す必要があります。本記事では、確認できる範囲で受入れ企業の要件と、監理支援機関を選ぶ際のポイントを整理します。

育成就労のスケジュールをおさらい

育成就労は2027年4月1日に施行されます。2026年4月15日から監理支援機関などの事前申請が始まり、9月1日から育成就労計画の認定に関する事前申請が受け付けられています。施行と同時に業務を始めたい監理支援機関は、2026年9月30日までの申請が案内されていました。

受入れ企業(受入機関)に求められる主な要件

要件1:過去5年以内に不正行為がないこと

出入国や労働関係の法令違反などによる一定の刑罰や、認定の取消しなどを、過去5年以内に受けていないことが必要です。技能実習のときと同様に、遡る期間は短縮されていません。と

要件2:育成・支援の体制が整っていること

育成就労外国人への育成や生活の支援について、社内の担当者による対応、登録支援機関などへの外部委託、またはその併用のいずれかで、体制を整える必要があります。支援担当者には、外国人が理解できる言語での対応力と、支援の実績が求められるとされています。

要件3:労働関係法令を守っていること

時間外労働に関する協定(36協定)、最低賃金法、労働安全衛生法などを守り、労働条件を本人が理解できる言語で通知することが必要です。

要件4:日本人と同等以上の賃金であること

日本人が同じ業務に従事する場合の賃金と比べて、同等以上であることを、社内の賃金規程や業界の水準などで説明できる必要があります。

要件5:財務・コンプライアンス面の要件

直近の決算の状況や、租税・社会保険料の納付状況なども審査の対象になります。

重大な不正行為の類型

賃金の不払い、最低賃金法違反、強制帰国やパスポートの取上げ、暴力やハラスメント、人権侵害などは、重大な不正行為とされています。違反した場合は、受入れの停止から認定の取消しまで、段階的に処分されます。

監理支援機関に求められる要件

外部監査人の必置

監理の独立性と透明性を確保するため、外部監査人を必ず置くことが求められます。外部監査人は、所定の講習を修了した弁護士、社会保険労務士、行政書士などが該当します。

受入れ企業との中立性

受入れ企業と資本関係など密接な関係のある者を、監理の業務に関与させてはならないとされています。受入れ企業の役員・職員やその親族を、監理の担当者に選ぶこともできません。技能実習制度では、監理団体と受入れ企業の関係の近さが問題になることがありました。

財産的基礎と監理の規模

欠格事由がないこと、債務超過でないことなどのほか、常勤の役職員1人あたりの監理対象が8者未満、育成就労外国人が40人未満といった、目安となる基準も示されています。

受入れ企業が監理支援機関を選ぶときのポイント

許可の取得状況と見通しを確認する

契約している監理団体が、監理支援機関として許可を申請しているか、許可の見通しがどうなっているかを、早めに確認しましょう。施行日の2027年4月1日から継続して業務ができるかどうかが、受け入れの継続に直結します。

外部監査人の体制と中立性

誰が外部監査を担当するのか、受入れ企業との関係は独立しているかを確認します。中立性の高い機関ほど、制度の変更後も安心して任せやすくなります。

支援の中身と費用の透明性

監理費の内訳、定期的な訪問や相談対応の頻度、母国語での支援体制などを、複数の機関で比較しましょう。費用の安さだけでなく、支援の質を見極めることが重要です。

転籍への対応方針

育成就労では、一定の要件のもとで本人の意向による転籍が認められます。転籍の申出があった場合に、監理支援機関がどのように対応するのかも、契約前に確認しておきましょう。

育成就労計画の認定申請で押さえたいこと

育成就労では、受入れ企業が「育成就労計画」を作成し、認定を受ける必要があります。技能実習の「技能実習計画」に相当するものです。2026年9月1日から事前申請の受付が始まっており、施行日に向けて準備を進めている企業も増えています。

計画に盛り込む内容

計画では、3年間でどのレベルの技能を身につけさせるのか、そのためにどのような研修・指導を行うのかを具体的に示します。特定技能1号への移行を見据えた育成の道筋になっているかどうかも、重要な視点です。

日本語学習・転籍への備えも計画段階から

育成就労では、日本語の学習支援や、一定の要件のもとでの本人の意向による転籍が制度の特徴です。計画を作る段階から、日本語学習の機会の提供や、働き続けたいと思ってもらえる待遇・キャリアの見通しを、あらかじめ盛り込んでおくと、認定後の運用が安定します。

技能実習から移行する企業の注意点

すでに技能実習生を受け入れている企業は、技能実習計画の申請期限や、経過措置の扱いが、団体ごとの案内によって異なる場合があります。契約している監理団体からの案内を必ず確認し、技能実習として受け入れを続けるのか、育成就労に切り替えるのかを、早めに判断しましょう。

受入れ企業が今やっておきたいチェックリスト

– 過去5年以内に法令違反などがないか、社内で確認した

– 賃金規程を見直し、日本人との賃金の比較を整理した

– 労働条件を多言語で通知できる体制がある

– 育成・生活支援の担当者と、外部に委託する範囲を決めた

– 契約中の監理団体に、許可申請と施行日以降の継続の見通しを確認した

– 育成就労計画の作成に向けて、育成方針と研修内容を整理した

よくある質問

Q. 契約中の監理団体が許可を取れなかった場合はどうなりますか?

監理支援機関の許可を取得できない場合、その団体は育成就労の監理を担えません。許可の見通しを早めに確認し、必要なら代わりの機関を検討しておくことが重要です。

Q. 技能実習生を受け入れている企業は、すぐ対応が必要ですか?

現在の技能実習については、経過措置が設けられる見込みです。ただし、2027年4月以降の新規受け入れは、基本的に育成就労として行われるため、準備は早めに進めておきましょう。

Q. 受入れ企業が自分で支援を行うことはできますか?

社内の担当者による対応も選択肢のひとつですが、多言語対応や支援実績などの条件が求められます。自社の体制で対応できるか、外部に委託するか、併用するかを検討してください。

Q. 外国人社員が少人数でも、これらの要件は必要ですか?

受入れ人数の多い少ないにかかわらず、受入機関としての要件は求められます。少人数だからこそ、担当者が兼務になりがちで、支援体制や記録の整備が後回しになりやすい点に注意が必要です。

Q. 要件を満たせるか不安な場合は、どこに相談すればよいですか?

契約している監理団体、行政書士、社会保険労務士のほか、出入国在留管理庁や外国人技能実習機構の相談窓口が利用できます。賃金規程や36協定の整備は社会保険労務士、計画の作成は行政書士に相談するなど、内容に応じて使い分けるとスムーズです。

まとめ

– 育成就労は2027年4月1日に施行され、受入れ企業にも新しい要件が課される

– 主な要件は、過去5年以内の不正行為がないこと、育成・支援体制、法令遵守、日本人と同等以上の賃金、財務・コンプライアンス

– 監理支援機関には、外部監査人の必置と、受入れ企業との中立性が求められる

– 委託先の許可の見通し、外部監査人の体制、支援内容と費用の透明性を確認して選ぶ

– 今のうちに、自社の要件の確認と、委託先への問い合わせを進めておく

参考

– 行政書士法人Tree「育成就労の受入機関の要件」https://office-tree.jp/blog/immigration/registered-support/ikusei-shuro-ukeire-kikan-yoken/

– 行政書士法人Tree「育成就労の監理支援機関とは」https://office-tree.jp/blog/immigration/ikusei-shuro-kanri-shien-kikan/

– 出入国在留管理庁「育成就労制度」https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri06_00149.html

– 厚生労働省「外国人雇用に関する法律」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/index.html