特定技能について / 育成就労

政府は2026年1月23日、特定技能制度と育成就労制度をあわせた2028年度末までの5年間の受入れ見込み数(上限)を、計123万1,900人と決定しました。あわせて対象分野に「物流倉庫」「資源循環」「リネンサプライ」の3分野が新たに追加され、特定技能は19分野体制に拡大しています。この数字は今後の外国人採用市場の規模感を左右する重要な指標です。本記事では、受入れ上限の意味するところと、企業が取るべき採用戦略を解説します。

分野別に見る受入れ枠の内訳

新設された3分野については、受入れ見込み数の内訳が公表されています。

| 分野 | 育成就労 | 特定技能 | 合計 |

| リネンサプライ | 3,400人 | 4,300人 | 7,700人 |

| 物流倉庫 | 今後公表 | 今後公表 | 一定枠を設定 |

| 資源循環 | 今後公表 | 今後公表 | 一定枠を設定 |

リネンサプライのように内訳がすでに明らかになっている分野もあれば、詳細が順次公表される分野もあります。自社の関心分野については、出入国在留管理庁の発表を継続的に確認しておくことをおすすめします。

受入れ見込み数123万1,900人とは何か

上限」であり「保証」ではない

受入れ見込み数とは、特定技能・育成就労をあわせて向こう5年間で受け入れることが見込まれる人数の総枠です。あくまで政府が策定する目安であり、この人数分の人材確保が自動的に保証されるわけではありません。人材獲得競争の中で「枠はあっても採れない」という事態も十分起こり得る点に注意が必要です。

現在の外国人労働者数との関係

2025年10月末時点の外国人労働者数はすでに257万人を超えています。特定技能・育成就労の受入れ見込み数123万人は、この全体の外国人労働者数のうち、両制度を通じて受け入れる人数の目安であり、技術・人文知識・国際業務など他の在留資格による労働者は含まれません。全体としての外国人材受け入れ規模は、この数字よりもさらに大きなものになります。

19分野体制への拡大がもたらす変化

新設3分野が受入れ枠を押し上げた

物流倉庫・資源循環・リネンサプライの3分野が新設されたことで、これまで対象外だった業種にも受入れの門戸が開かれました。これらの分野は、いずれもEC市場の拡大や生活インフラの維持に直結する業種であり、今後の受入れ数の伸びを支える存在になると見られています。

業種間での人材獲得競争が激化する

対象分野が広がるということは、それだけ企業側の選択肢も増える一方、限られた人材を巡る獲得競争が業種の垣根を越えて広がることも意味します。介護・建設・製造業といった従来からの主要分野に加え、新設分野を含めた19分野が同じ人材プールを取り合う構図になりつつあります。

今後5年を見据えた採用戦略のポイント

早期の受入れ体制構築が優位性になる

新設分野は競合企業がまだ少ない段階にあります。試験制度や運用の詳細が固まる前から情報収集と体制整備を進めておくことで、制度が本格稼働した際にいち早く人材を確保できる可能性が高まります。

育成就労からの内部育成ルートを持つ

即戦力人材の獲得競争が激化する中、育成就労を通じて自社で人材を育てるルートを持つ企業は、外部からの採用に依存しない安定した人材確保が可能になります。2027年4月の育成就労制度施行を見据え、監理支援機関との連携や育成就労計画の準備を早めに進めることが重要です。築

送り出し国との関係構築

受入れ見込み数が拡大する一方で、送り出し国側の労働者数にも限りがあります。ベトナム・中国・フィリピンなど主要な送り出し国との関係を強化し、安定的な人材供給ルートを確保している企業ほど、今後の採用競争で優位に立てると考えられます。

定着支援への投資を惜しまない

採用競争が激化するほど、採用した人材をいかに定着させるかが企業の実質的な採用力を左右します。育成就労での転籍緩和も見据え、待遇・キャリアパス・生活支援の充実に投資することが、結果的に長期的な人材確保コストを下げることにつながります。

123万人という数字を採用計画にどう活かす

受入れ見込み数はあくまで国全体の総枠であり、自社に何人配分されるという性質のものではありません。むしろ重要なのは、この数字が示す「今後5年間で市場がどの程度拡大するか」という規模感を、自社の採用計画の前提として織り込むことです。たとえば、新設分野を含む採用を検討している場合は、市場全体がまだ立ち上がったばかりの今のうちに情報収集と体制整備を始めることで、競合が本格参入する前に受け入れ実績とノウハウを蓄積できます。逆に既存の主要分野で採用を続ける場合は、対象人材の絶対数が増える一方で競合も増えることを前提に、待遇面・定着支援面での差別化を早めに検討しておく必要があります。

中長期で見た受入れ拡大の意味

少子高齢化による労働力人口の減少は今後も続く見通しであり、123万人という受入れ見込み数も、今後さらに見直され拡大していく可能性があります。外国人材の受け入れは一過性の対応ではなく、企業の中長期的な人材戦略の一部として位置付ける必要があるといえるでしょう。

よくある質問

Q. 受入れ見込み数の上限に達すると、それ以降は新規受け入れができなくなりますか?

上限は5年間の目安であり、状況に応じて見直される性質のものです。ただし、上限が意識される分野では審査や運用が厳格化される可能性もあるため、対象分野での採用を検討している場合は早めに動くに越したことはありません。

まとめ

– 政府は2026年1月、特定技能・育成就労の5年間の受入れ見込み数を計123万1,900人と決定した

– 新設3分野(物流倉庫・資源循環・リネンサプライ)の追加により特定技能は19分野体制に拡大

– 受入れ見込み数は上限であり、人材獲得の保証ではない点に注意が必要

– 早期の体制構築、育成就労での内部育成ルート、送り出し国との関係構築が採用戦略のカギ

– 定着支援への投資が、中長期的な人材確保コストを左右する

参考

– 出入国在留管理庁「特定技能制度及び育成就労制度の受入れ対象分野(新たに追加等を行う分野等)の詳細(案)」https://www.moj.go.jp/isa/content/001440967.pdf

– 外国人材新聞「特定技能新3分野の先行者利益|物流倉庫・資源循環・リネン」https://www.gaikokujin-press.com/archives/2964

– 出入国在留管理庁「特定技能制度」https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/tokutei_index.html

– 社会保険労務士PSRネットワーク「外国人労働者数(令和7年10月末)は257万1,037人 過去最高を更新(厚労省)」https://www.psrn.jp/topics/detail.php?id=39701