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【この記事の要点】

– 出入国在留管理庁は2026年10月1日、永住許可に関するガイドラインを改定しました

– 収入は「世帯人数に応じた日本人世帯の平均を上回る水準」、年金は「厚生年金に30年加入した場合の受給見込額」が目安になります

– 日本語はB1相当以上が原則とされ、配偶者の特例も婚姻3年→5年、在留1年→3年に引き上げられました

– 新ガイドラインの全面適用は2027年4月1日以降の申請。ただし収入関連は先行して適用される部分があります

– 外国人社員を雇用する企業は、処遇設計・社会保険の適正加入・日本語学習支援の見直しが必要です

「うちの社員が永住申請を考えているが、条件が厳しくなると聞いた」——そんな相談が、外国人材を雇用する企業で増えています。2026年10月1日に永住許可ガイドラインが正式に改定され、年収・年金・日本語など、審査の見られ方が大きく変わりました。本記事では、確認できる範囲で変更点と適用スケジュールを整理し、企業が今から備えるべきポイントを解説します。

## 2026年10月1日に何が決まったのか

2026年10月1日に何が決まったのか

### 改定の経緯

永住許可に関するガイドラインは、出入国在留管理庁が審査の考え方を示すものです。今回の改定案は2026年8月4日から9月3日まで意見募集が行われ、入管庁の公表資料によると5,000件を超える意見が寄せられました。その結果を踏まえて、2026年10月1日付で改定されています。

### 適用スケジュール

適用の時期は、申請の時期によって段階的に分かれています。

| 申請の時期 | 適用される基準 |

|———–|————–|

| 2026年3月31日まで | 従来のガイドライン |

| 2026年4月1日〜2027年3月31日 | 原則は従来のガイドライン。ただし収入関連の要件は新基準を先行して適用 |

| 2027年4月1日以降 | 新ガイドラインを全面的に適用 |

注意したいのは、すでに申請して審査中の案件にも、収入関連の新基準が適用される可能性が指摘されている点です。永住審査は結果が出るまで約10か月かかるとされており、審査の途中で基準が変わる影響を受ける人もいます。

## 主な変更点

### 収入:日本人世帯の平均を上回る水準

これまでは「年収300万円程度」が目安とされてきましたが、今回の改定では、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達していることが考慮されます。単年度の年収ではなく、継続性が見られる点がポイントです。具体的な基準額は世帯人数によって変わるため、申請を考える社員の世帯構成に応じた確認が必要です。

### 年金:厚生年金30年加入相当の受給見込額

将来の年金受給見込額が、同じ収入で30年間厚生年金に加入した場合の受給額に達しているかどうかも確認されます。不足する分は、預貯金や株式などの金融資産で生活資金を補えるかどうかが考慮されるとされています。

### 日本語:B1相当以上が原則

日本語能力は「日本語教育の参照枠」のB1相当以上が原則的な基準として示されました。ただし、高度人材に該当する場合や、一定の学校教育を受けた経歴がある場合などは、扱いが異なる可能性があります。例外の範囲は入管庁の公表資料で確認が必要です。

### 配偶者の特例:婚姻5年・在留3年に

日本人・永住者・特別永住者の配偶者に認められていた特例について、従来の「婚姻3年以上かつ日本での在留1年以上」が、「実体を伴う婚姻生活5年以上かつ日本での在留3年以上」に引き上げられました。

### その他の考慮要素

学齢期の子どもの就学状況や、公的制度への理解といった点も、新たに考慮要素として明記されたと報じられています。

### 手数料の見直しにも注意

在留手続きの手数料については、2026年5月に成立した改正入管法で上限が大幅に引き上げられており、永住許可は20万円程度とする案が検討されていました。実際の金額と適用時期は政令や入管庁の公表で必ず確認してください(詳しくは「入管法改正で在留手続き手数料が最大30倍に」の記事を参照)。

## 企業への影響

### 永住を目指す社員の「処遇」が見られる

永住申請の審査では、収入が日本人世帯の平均を上回っているかが問われます。これは本人の努力だけでなく、企業が設定する給与水準そのものが、社員の永住許可の可否に影響することを意味します。長く働いてほしい人材ほど、処遇設計を見直す価値があります。

### 社会保険の適正加入が社員の将来を左右する

年金の要件が明記されたことで、厚生年金への加入状況や保険料の納付状況は、これまで以上に重要になります。本来加入すべき社員を未加入のままにしていると、社員が永住申請の段階で不利になり、結果として信頼関係の悪化や離職につながりかねません。2026年10月からの社会保険の適用拡大とあわせて、加入状況を点検しておきましょう。

### 高度専門職や配偶者ビザの社員への波及

高度専門職には、ポイントに応じて永住許可に必要な在留期間が短縮される優遇措置があります。優遇措置の扱いが今後どうなるかは引き続き確認が必要です。また、日本人の配偶者などの在留資格を持つ社員は、特例の要件が厳しくなる点に注意が必要です。

### 離職や転職の動機になることも

永住の見通しが立たなくなった社員が、より高い年収を求めて転職を考えるケースも想定されます。永住を目指す意欲の高い人材ほど、会社としてのキャリア支援・昇給の見通しを丁寧に示すことが大切です。

### 「永住できない=日本で働けない」ではない

社員から不安の声が上がったときに伝えておきたいのが、永住許可が得られなくても、現在の在留資格を更新しながら働き続けることは引き続き可能だという点です。技術・人文知識・国際業務や特定技能2号など、更新を重ねて長期に在留できる在留資格もあります。永住は「ゴールのひとつ」であり、唯一の選択肢ではありません。会社としては、在留資格の更新を確実にサポートしながら、本人の希望に応じて永住に向けたステップも一緒に考える姿勢を示すと、社員の安心感につながります。

### 申請のタイミングを見極める

新基準は2027年4月から全面的に適用される一方、収入関連はすでに先行して適用される部分があります。「基準が変わる前に急いで申請する」のが得策かどうかは、本人の収入・年金・日本語の状況によって異なります。早まった申請で不許可となると、その後の申請に影響する可能性もあるため、個別に専門家へ相談したうえでタイミングを決めることをおすすめします。

## 企業が今からできる準備

### 永住を希望する社員の洗い出しと面談

まず、永住申請を考えている社員、または今後検討しそうな社員を把握しましょう。本人の意向、申請時期の見通し、世帯の状況を面談で確認しておくと、必要なサポートが見えてきます。

### 収入・年金の見込みのセルフチェックを支援する

給与明細や源泉徴収票、年金記録などをもとに、現状でどの程度基準に近いかを確認する場を設けるのは有効です。判断が難しい場合は、行政書士など専門家への相談を案内しましょう。

### 日本語学習を支援する

B1相当が原則とされた以上、日本語学習は永住を目指す社員にとって重要な課題です。学習時間の確保、講座の受講費用の補助、資格試験の受験支援など、会社としてできることを検討してみてください。

### 社会保険・納税の状況を適正に保つ

本人の納税や社会保険料の納付状況に加えて、企業側の届出・加入手続きに漏れがないかも確認しておきましょう。

### 公式情報を定期的に確認する

遡及適用のリスクや例外の扱いなど、運用の詳細は今後さらに明らかになる可能性があります。入管庁の公表資料を定期的に確認し、必要に応じて社員へ共有する体制をつくっておくと安心です。

## よくある質問

**Q. すでに永住申請をしている社員にも新基準は適用されますか?**

2026年4月1日以降の申請については、収入関連の要件に新基準が先行して適用される可能性が指摘されています。審査の状況は個別に異なるため、本人が申請している場合は、申請を依頼した行政書士や入管庁に確認することをおすすめします。

**Q. 高度専門職の社員も日本語B1が必要ですか?**

高度人材に該当する場合は、日本語の扱いが異なる可能性があるとされています。例外の範囲は公表資料で変わり得るため、最新の情報を確認してください。

**Q. 企業として永住申請に協力する義務はありますか?**

法律上の義務ではありませんが、在職証明書や源泉徴収票の発行など、申請に必要な書類への協力を求められることが一般的です。協力体制を整えておくと、社員の安心感につながります。

## まとめ

– 永住許可ガイドラインは2026年10月1日に改定され、収入・年金・日本語・配偶者特例などが厳格化された

– 新ガイドラインの全面適用は2027年4月1日以降の申請。収入関連は先行適用される部分がある

– 収入は日本人世帯の平均を上回る水準、年金は厚生年金30年加入相当の受給見込額が目安

– 企業の給与水準や社会保険の適正加入が、社員の永住許可に影響する

– 永住を目指す社員の洗い出し、日本語学習支援、公式情報の確認が今からできる準備

## 参考

– 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン案改定に係る意見募集の結果について」(令和8年10月1日)https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000321728

– 行政書士法人第一綜合事務所「【令和8年10月1日改定】新・永住ガイドライン公表!年収・厚生年金30年水準・遡及適用への対策を解説」https://dsg.or.jp/column/permanent/21981/

– NOVAIST「出入国在留管理庁、永住許可指針を改定 世帯年収・年金・日本語B1相当の新基準を明記」https://novaist.jp/articles/japan-residency-rule-changes/

– 日本経済新聞「外国人の永住許可ガイドライン、収入要件など厳格化 1日に改定」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA301LJ0Q6A930C2000000/